兵庫県斎藤知事をめぐり、大きな節目を迎えました。兵庫県定例議会の初日ですが、不信任案が提出され、不信任案が可決されました。(19日午後5時30分過ぎの放送より)

■斉藤知事の不信任案可決…議会解散?知事失職?

井上貴博キャスター:
19日午後17時半ごろ、兵庫県全議員86人の賛成多数により不信任案が可決されましたが、この先どういったことが考えられるのでしょうか。

選択肢としては、10日以内に「議会を解散する」という判断をするか、「知事を失職する」という判断をするかの2つに分かれます。

「議会解散」をすると、県議会議員選挙が行われ、その費用は約16億円(試算)になり、「知事失職」をすると、知事選が行われ、その費用は約18億円(試算)になります。

「議会解散」を選んだ場合は、県議会議員選挙を行った上で新たな議会が発足し、その新議会で「不信任決議案」を採決し、過半数が賛成になると、知事を失職することになります。

ですが、知事はこれまでも「様々な選択肢がある」という発言をしている中で、この選択肢をどのように見ればいいのでしょうか?

TBSスペシャルコメンテーター 星浩さん:
まず、斎藤知事は一連の内部告発への対応やおねだり問題も含めて、「法律的には間違ったことはやっていない」という立場です。

その論理でいけば、解散をして信を問うということになっていきますが、一方で政治的に考えると、解散して新議会でもまた不信任になって失職をしたら、もう知事としては政治生命がなくなるわけなので、政治的にはその選択肢(議会解散)はあまり得ではないと思って、今、考えているところなんでしょうね。

ホラン千秋キャスター:
自ら「辞めます」ということになれば、その後、また政治家としてやりたいのであれば、続けられる芽はあるということですか?

星さん:
筋から言えば、ここで自分が辞職をして、もう1回選挙に出るというのはあり得るんですが、おそらくそれをやっても勝ち目はないということが少しずつわかってきたということじゃないですかね。

ホランキャスター:
お金だけで見ていくと、解散せずにそのまま知事を選んだ方が、解散して県議会議員選挙をやって知事選もやってとなるよりかは、税金を使わずに済むということにはなりますが。

スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
政治的判断というのは正論よりも大事ですよね。

本来、もっと早く「知事を辞める」という判断をした方が政治的判断として良かったことがあるような気がするのですが。

星さん:
斎藤知事はいわゆる自治官僚といって、総務省で官僚をやって、大阪府でも働いていました。最終目標は知事になることでした。

斎藤知事にとって知事というのは、ある意味では“人生の全て”なので、ここで(知事を)辞めれば、自分が今までずっと積み上げてきたものが全部なくなってしまうので、そこは相当必死になってしがみつくというのが現実だと思います。

■知事に再当選した場合どうなる?

井上キャスター:
「辞職」と「失職」では、知事に再当選した場合に大きな違いがあります。

「辞職」を選択すると、公職選挙法の規定により特例が適用され、辞職前の任期の2025年7月末までになります。

一方で、「失職」を選択すると、特例要件に該当しないので、通常通りの任期4年になります。

同じ選挙をするのであれば、任期が長い「失職」を選ぶということになるのでしょうか?

星さん:
斎藤知事は「4年間の任期を全うしたい」と言っているので、残り1年を含めて4年ですから、そういう意味では、新しく4年間(知事を)やりたいというよりは、残り任期1年でも、「とりあえず知事の座にいたい」というところはあるんでしょうね。

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<プロフィール>

星浩さん
TBSスペシャルコメンテーター
1955年生まれ 福島県出身 政治記者歴30年

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