クラス担任を1人に固定せず、複数の教員が担う「チーム担任制」が静岡市内の小学校で試験的に行われています。教員の心理的負担を軽減するだけではなく、子どもたちが相談しやすい教員を選択できるというメリットもあります。

静岡市の竜南小学校です。小学校では一般的に、1人の担任が朝の会から帰りの会まで一緒に過ごすのが通常ですが…

<川上由香教諭>
「1時間目、音楽の支度どうぞ」

5年2組で朝の会を終えた教員は、隣のクラスに移動しました。

<5年2組の2時間目>
「What did you do in summer?」

<5年2組の3時間目>
「山形県の庄内平野も米づくりがさかん」

<5年2組の4時間目>
「メダカの卵はどうやってできたんでしたっけ?」

どの時間も、違う教員が担当しています。静岡市は2024年度、竜南小と東源台小の2校を研究校とし、学級担任を複数の教員で受け持つ「チーム担任制」を始めました。

<6年生の児童>
Q.6年1組の先生は何人いますか?
「3人です。村越先生と栁先生と酒井先生です」

<6年生の児童>
「それぞれの教科が得意な先生の授業を受けることができるので、わからないところがあっても詳しく聞くことができます」

竜南小学校では、5年生と6年生のクラスで担任を固定せず、3学級を3人の教員で回しています。

<5年生の児童>
「前までは、あまり他のクラスの先生とは話すことができなかったんですけど、いろいろな先生が来てくれたら、他の先生とも楽しく話せるようになりました」

複数の担任がいることで、児童が相談しやすい教員を選ぶことができます。

<5年学年主任 川上由香教諭>
「私とは合わないけど、隣のクラスの先生とは話が合うとか、いっぱいいると思うので、複数人で見ることによって、子どもたちも楽」

竜南小学校が保護者に行ったアンケート調査では、チーム担任制の導入について、「よい」、「どちらかといえばよい」と回答した人は7割でした。

<竜南小学校 井上聖一郎校長>
「これだけ社会情勢も変わり、さまざまな価値観が認められている現代の中で、校内に一人でも多く自分のことを分かってくれてる大人がいるのは、子どもにとっても安心感につながると考えています」

若手とベテランが同じクラスを担当することで、教員側のメリットもあるようです。

<5年担任(教員2年目)望月一花教諭>
「社会の授業とか家庭科の授業も今年初めて持つので、そういったときも他のクラスの先生にいろいろ相談がしやすい。子どもたちの様子も知っているから相談しやすいというところが大きいかなと思います」

<6年学年主任 村越礼乃教諭>
「9教科持たなきゃいけなかったときに比べると、教材研究する時間はすごく減りました。得意な授業を専門的にできる」

複数の教員が関わるうえで、情報共有は欠かせません。

<6年担任(教員2年目) 栁草汰教諭>
「明らかに進み方が全然違うので、1日20分くらいで全部終わっちゃう子もいれば…」

1人の子どもを、より多くの目で見つめていく意識を高めています。

<5年担任 望月康平教諭>
「わからないことがわかったとか、新しいことを勉強するのが楽しいと言ってくれると、うれしいですよね」

竜南小学校では2024年度、チーム担任制の一環として独自の取り組みも…。

<静岡市政担当 植田麻瑚記者>
「通常、新1年生のクラス編成は入学と同時の4月に行われますが、竜南小学校では、子どもたちのクラス編成を5月に行いました」

入学後の1か月間で、子どもたちの個性や友人との関係性を見極め、正式なクラス編成を5月に行ったのです。

<竜南小学校 井上聖一郎校長>
「私たちが従来のままで自分の価値観をもとにやっていくのではなく、私たちも変わって成長していく」

教育現場では、働き方改革と同時に、子どもたちへのきめ細かいサポートが求められています。

<LIVEしずおか 水野涼子キャスター>
先生たちは担当する教科が少ない分、教材研究に力を注げますね。

<静岡市政担当 植田麻瑚記者>
小学校教員は多忙で残業が多いイメージがありますが、静岡市では月に45時間を超える時間外勤務をしていた割合は20.9%と、全国に比べて低くなっています。竜南小学校では、毎月発行していた学年便りを必要な時のみに変更するなど働き方改革の推進にも力を入れています。限られた人数の中で、子どもたちと向き合う時間の確保に向け試行錯誤しています。

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