来年4月に開幕する、大阪・関西万博。会場の建設費、工事の遅れなどの課題が次々と浮上している中、大阪府は、万博の入場チケットをふるさと納税の「共通返礼品」にすることを検討していることが新たに分かりました。万博チケットをふるさと納税の返礼品に・・・地元では、賛否の声が上がっています。

■海外パビリオン 建設一部が未着工…開催までに間に合う?

小笠原亘キャスター:
2025年4月13日に大阪・関西万博が開幕します。そもそも万博とは、地球規模の課題に取り組むため世界各地から英知が集まる場です。今回のテーマは「SDGs達成の貢献」が掲げられています。

今回の万博には▼161の国と地域、9の国際機関が参加表明しています。2005年の「愛・地球博」は121の国と地域が参加したので、「愛・地球博」と比べると増えた形になります。

建設スケジュールの目安は「2024年の10月末までに重機を使った工事を完了」を予定しています。ただ、パビリオンを自ら建設する47か国ありますが▼着工済み:40か国、▼未着工・業者決定済み:3か国、▼未着工・業者調整中:4か国となっています。

2025年4月13日の開幕に間に合うのか、万博広報担当者に聞いたところ「来年4月の開幕に向けて間に合うように準備・建設を進めている」ということでしたが、すこし心配になりますね。

ホラン千秋キャスター:
こういった国際的なイベントになると必ず「間に合うのか間に合わないのか議論」っていうのは、必ずありますね。

弁護士 萩谷麻衣子さん:
当初から見たら、案外進んでいると思います。やるからには、もう後戻りできないのであれば頑張っていただきたいです。しかし、建設現場で事故など起こらないように、無理のないように注意しなければいけないでしょうね。

井上貴博キャスター:
ネット全盛の時代に「万博そのものはどれだけ息があるのか」と個人的に思います。しかし、発表されている経済効果は3兆円ある、使い道のなかった島を有効活用する、というのであれば堂々と進めればいいのに、と思います。

しかし、法律上は問題ないのかもしれませんが、国のイベントで国のお金が入っているものを、開催都市がふるさと納税の返礼品にするというのは、どこか腑に落ちない、違和感があります。

萩谷麻衣子さん:
吉村知事も「赤字をどこが負担するのか」という議論のとき、「この万博は国家事業だから」とかなり強調していた。その国家事業を、大阪府内の市町村のふるさと納税にするのは、違和感がすごくあります。「地場産品」というところで言うと主要な部分を製造してるのが大阪府であれば、法律上の問題はクリアはすると思いますが。

■万博チケットがふるさと納税返礼品になったワケ

小笠原キャスター:
大阪・関西万博をふるさと納税にするというのは、前売りチケットの売れ行きがよくない、というところがあるのだと思います。

前売りチケットの「開幕券」(2025年4月13日~26日入場可)は18歳以上4000円と、開幕後に販売される一日券に比べると3500円安いです。

どれぐらい売れていないかというと、万博前売りチケット目標枚数は1400万枚ですが、現在の販売状況は約499万枚と目標の36%に留まっています。

そんな中、大阪市は商業施設などにチケット購入などを手助けする窓口「万博来場サポートデスク」を設置しています。また、大阪府内の約40市町村でふるさと納税の共通返礼品にする方針です。大阪市を除く39市町村への希望調査では、取り扱いに前向きな回答だということです。

街の声を聞いてみると「県外の人も来てくれたらいいと思う」という声もある一方で、「チケットの売れ行きが良くないからあがきだと思う」という人もいるという状況です。

井上キャスター:
これは仕方ないことですが、大阪と他の都市での温度差は結構広がりつつありますね。

萩谷麻衣子さん:
魅力がもっと全国的に広がり周知されていれば、ふるさと納税の返礼品にしなくてもチケットは売れたと思いますが、赤字を出さないよう、とにかく頑張るしかないんでしょうね。

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<プロフィール>
萩谷麻衣子さん
弁護士
結婚・遺産相続などの一般民事や、企業法務を数多く担当

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