多くの若者たちが集まる福岡市天神の警固公園で、夜回り活動を続けているグループがいます。

生きづらさや悩みを抱えている若者たちを支援しようと、9月から「まちの保健室」という取り組みを新たにスタートさせました。

夜、公園に集まる若者たち

夜になっても多くの人で賑わう福岡市天神の警固公園。

若者たちに声をかけているのは、筑紫女学園大学で児童福祉などについて研究する大西良准教授(45)です。

大西准教授は、研究の傍ら地域のソーシャルワーカーや医師らと共に、週末の天神地区で若者たちを見守る夜回り活動を続けてきました。

警固公園に集まる若者たちに変化を感じています。

筑紫女学園大学 大西良准教授(45)「中学生、中には小学生もいたりしてかなり低年齢化しているような印象があります。メンタル不調を抱えている子が非常に多くなっているな、という風に思います」

「心のつまずきがあると思う」

メンバーの一人で小児科医の田中祥一朗さん(47)は、若者たちの健康が脅かされている現状を目の当たりにしてきたといいます。

飯塚病院(小児科)田中祥一朗医師「実際、オーバードーズで入院するお子さんも近年多くなっていまして、当院でもやはり警固公園から帰ってきて、というお子さんもおりました。やはり、何かしら生きづらいとか心のつまずきがあると思うんですけれども、それを相談できる大人が身近にいないということだと思います」

夜回りする大人が「相談できる居場所」づくり

若者たちが「安心して相談できる場所」を作りたいと、新たに企画したのが「まちの保健室」プロジェクトです。

この日はメンバーが集まり、初めての会議が行われました。

自立援助ホームスイッチ 中嶋亮太さん(42)「例えば妊娠で時間的猶予がないような子が相談に来た時に、その子をどうするのかつなぎ止めれるのかとか」

「まちの保健室」運用に向け準備

「保健室」をどのように運用していくのか、課題を整理するためデモンストレーションを行いました。やって来たのは、高校1年生と中学3年生の3人組です。

Q起床1時って昼の1時?

中学3年生「夜中です」

Qずっと起きているの?

中学3年生「寝れなくなっちゃって」

高校1年生「友達とのトラブルとかで言い合いとかでイライラする」

Q気になることがあるなって時は普段どうしているんだろう?お父さん、お母さんに相談したりとか?

高校1年生「相談はしてないよ。相談してもふーんで終わるもん。親は興味ないから多分。」

筑紫女学園大学 大西良准教授(45)「保健室はニーズとしてはあるかなと…。自分のことを伝えたいって子はいるかなと感じます」

「まちの保健室」オープン

9月14日。

警固交番の隣にある市の「安全安心センター」で「まちの保健室」が初日を迎えました。

最初にやってきたのは中学生3人です。

中学3年生「中1で親がコロナになって濃厚接触者になって入学式行けなくて、行くタイミング失って別の日行ったんですけど、その日感情爆発しちゃって、パタンって行かなくなりました。」

中学3年生「親って今の時代のこと分かってくれないじゃないですか。共感がない。全部に対して親の過去からのアドバイス。こっちアドバイス求めてない」

初日は3組が相談に訪れました。

そのうち1組は1か月前のデモンストレーションで、相談に訪れた高校生と中学生の3人です。

Qこの1か月はどうでした?どんな感じの1か月だったかな

高校1年生「ハード…体育祭の練習、もう終わりました。」

中学3年生「前来た時に、またあるんで来てくださいって言われて。大人と喋ることがないから話しかけてくれるのがありがたい」

大西さんたちは今後も毎月第2土曜日の夜にこの取り組みを続けていく予定です。

筑紫女学園大学 大西良准教授(45)「いつも来なくても、あそこに行ったらこういう風に話を聞いてくれる人がいるって、そんな思いだけでも持ってくれたら嬉しいなと思っています」

若者が安心して集まれる「保健室」を目指して。

大西さんたちはこれからも心の声に耳を傾けます。

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