顧客からの不当な行為や理不尽な要求などの迷惑行為「カスタマーハラスメント」が社会問題となる中、企業や自治体が続々と対応方針を示すなど対策に向けた動きが加速しています。鳥取県でも、自治体独自でマニュアルが作られるなどカスハラ対策強化への機運が高まっています。

「地方自治体」でも進むカスタマーハラスメント対策ー

鳥取県は今年6月、カスハラ対策を強化するためプロジェクトチームを発足させました。


鳥取県 平井伸治 知事
「カスタマーハラスメントについても対処していこうという検討が始まっています。遠からず、こうした対策が法的な面も含めてもたらされるのではないかと思います」

いま全国の企業や自治体で対策に向けた議論が進んでいる、「カスハラ」問題。

実は、すでに自治体独自で対応マニュアルを作成し、運用を始めている町が鳥取県内にあります。それが、鳥取県江府町です。

鳥取県江府町では自治体独自のマニュアル作成ー


江府町 八幡徳弘 副町長
「職員と話をしている中で、数は多くないんだけれども、対応に困っている事例があるので、それを組織で対応するためのマニュアルのようなものがあったらいいなという要望をもらったのがスタートです」

町によりますと、役場でカスハラにあたる行為が確認されるのは年に数件程度ですが、これまでに「思い通りにいかず興奮して大きな声をあげられた」「用があるといって、職員が個人宅に呼びつけられ職場に半日戻れなかった」などの事例がありました。

応対した職員が心身ともに不調になり、休職したケースもあったといいます。


職員の声を受けて、約2年前、厚労省が示している「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を参考にし、原案を作りました。

その後、町職員へのアンケートを2回実施、町民からも意見を募集し、対応マニュアルを完成させて、今年5月から運用を始めました。

「カスハラ」対応マニュアルは住民も閲覧可能ー

江府町 八幡徳弘 副町長
「職員も随時参照できますし、ここが総合受付の窓口なんですけれど、必ず机の上に置いてあって、住民の皆さんがご覧になりたいときは、いつでも手に取っていただけるように準備しています」

対応マニュアルは、町の職員だけでなく、住民も目にすることができます。そこには、こんな気持ちが込められています。

江府町 八幡徳弘 副町長
「ここまでエスカレートすることは滅多に無いと思うんですけれども、お互いにここまでやったら、こんな対応を取ることに役所として決めているので、こんな状況には陥らないように冷静に話し合いをしましょうという注意喚起といいますか。

ずっと、江府町に住んでいただきたいですし、職員も江府町に住んでいる職員がもちろん多いので、顔もよく知った関係ですし、お互いに良い関係の中で物事が解決して前に進んでいくように、そういう助けになればなと思います」

クレームとの線引きが非常に難しいという側面 弁護士に聞くとー

現状、カスハラに関しては法律上明確な定義がなく、クレームとの線引きが非常に難しいという問題もあります。

この問題について、鳥取県弁護士会の高橋真一弁護士に話を聞きました。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。