トルコやイラクなどの国々に分断され「国を持たない民族」と呼ばれるクルド人の音楽家が来日し、9月26、27日に東京で公演する。弦楽器の演奏に合わせて歌う民謡に映像を重ね、宮沢賢治の詩の世界観を表現。民族の文化にほれ込み、交流を続けてきた女性が企画した。  母語の使用を長年禁じられたクルド人は、民族の歴史や暮らしを歌にして受け継いできた。東京でゲストハウスを経営しながらクルド語や民謡を学ぶ上田恵利加さん(40)は昨年に2回、知人の音楽家セルダル・ジャーナンさん(38)をトルコから招き、演奏会を開催。今回は賢治の詩「春と修羅」を題材に新たな表現に挑む。  クルド人が住む地域に通い、過去に訪れた岩手県の風景や文化との重なりを実感したと上田さん。岩手で生まれ育った賢治の詩に触れ「人間を特別な位置に置かず、自然の一つと捉えている」と共通点を見いだした。  在日クルド人への差別的投稿や悪質なデマ、排斥を叫ぶヘイトデモが繰り返される状況に心を痛めてきた。傷つき苦しむ人たちのことも思い「今も生き続ける民謡に光を当てたい」と願う。


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