兵庫県の斎藤元彦知事をめぐっては、9月13日までに、兵庫県議会の議員86人全員が知事に辞職を求めている状態です。まさに四面楚歌の状況ですが、いまだ続投の意思を示し続ける斎藤知事はどのような人物なのか。なぜここまで「知事職」にこだわるのか。前明石市長の泉房穂氏に話を聞きました。

「ソフトな感じで、受け答えもそつがなく、いい印象」

 (泉房穂氏)「私自身は明石市長を12年間務めました。その時の知事は、前半の10年間は井戸敏三氏。後半の2年間は斎藤知事です。ですから斎藤知事とは、兵庫県知事・明石市長の関係でした」

 前明石市長の泉氏。斎藤知事が当選した2021年7月投開票の兵庫県知事選挙の際、斎藤氏が立候補を表明する前に、3時間ほど「意見交換」をする機会があったということです。

 (泉房穂氏)「最初の印象は好青年と思いました。印象は良かったです。ソフトな感じですし、受け答えもそつがなく、そういう意味では印象は悪くないです、いい印象です」

 しかし、「なぜ兵庫県知事になりたいのか」という話では…

 (泉房穂氏)「(斎藤知事は)『とにかく知事になりたいんだ』ということを繰り返された。知事になったらしたいことは?という部分はほとんど答えがなかったので、私も驚いた。なんでそこまで知事にこだわるんですか?と聞くと、自分(斎藤知事)の名前は、『おじいちゃんが昔(第38・39代)の知事・金井元彦氏に了解をいただいて、つけられたんです』と。もう本当に知事になりたい方なんだなと、知事というポストに関する強い思いは感じました」

 兵庫県知事というポストに対する強いこだわりがあるものの、「知事になったらこうしたい」というビジョンは、泉氏はあまり感じなかったいいます。

苦言を呈したら着信拒否された!?

 (泉房穂氏)「斎藤知事は私に限らず(県内の)どの市長や町長ともほぼ連絡をとろうとなされなかったので、他の市長や町長からも『新しい知事さん、まだ顔も見ていない』というような話もあった。私も知らない関係じゃなかったし、『やっぱり知事である以上、市長や町長との連携は大事だと思うんだけど』と、苦言というか電話を(斎藤知事に)させていただいたんです。その後、着信拒否されてしまった経緯だから、そういう意味ではなかなか明石市長としてお会いしたくてもお会いできなくて」

 泉氏によりますと、当選後、斎藤知事と直接会うことができたのは就任から8か月後。県内の市長や町長との連携はあまり積極的ではなかったと泉氏は感じていました。

 そして、今回の一連の問題については次のように述べました。

 (泉房穂氏)「兵庫県庁の組織文化の問題が大きいと思っています。どっちを向いて仕事をするかという時に、県庁職員が県民ではなくて知事に嫌われないように、知事の意向に沿うように動く特性があったと思う、前々から。(Q県庁内で知事にブレーキをかけられる人がいなかった?)『お前が言える立場か』と言われる立場だと自覚していますが、ポイントは(知事が持つ)強大な権限をどう使うかだと思うんですよね。強大な権限を兵庫県の改革とか県民の生活向上とかのために、ある意味、反対があっても強大な権限で押し切るのは私はありだと思いますが、それを兵庫県のためとか県民のためでなくて“自分のほしいものをゲットするため”みたいな形になってしまうと、権限の使い方が違う」

 インターネット上では、斎藤知事のレベルについてきていない部下にも問題があるのではないかという意見も。部下とのコミュニケーションという部分では「斎藤知事の気持ちがわからなくもない、という思いはあるか?」と泉氏に聞くと…
 
 (泉房穂さん)「ありません。全くないです。どっちを見て政治をするかです。市民のため町のために政治をするのか、市民や町を見ずに自分のほしいものをゲットするために権限を利用するのか。基本的に、政治の権限の使い方が全く違っていると私は思っている」

“四面楚歌”の中でも続投を主張するワケ

 泉氏は、斎藤知事がこの“四面楚歌”の中でも「続投」と言い続けていることについて、“官僚出身”という一面も影響しているのではないかと見ています。

 (泉房穂氏)「『やっぱり自分は間違っていないんだ。自分はなるべくして知事になり、知事としてやることをやってきたし、自分には非がない』という思いは強いと思う。官僚の特質といわれるパターン。政治家は民意で選ばれて結果・責任を負う立場で、責任の2文字をよく使います。官僚は基本的にはそうではない。やってきたことを基本的に否定しないわけです。仮に間違ったことをしていても『事情があったから謝ることではない』と。今の斎藤知事もまさに中央官庁の官僚、悪しき官僚の特徴が今に続いてしまっている。根っこのところにある『間違ったことは自分はしていない』というところじゃないかと、私は推察しています」

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