Z世代を中心に世界的に流行している「ショートドラマ」は、スマートフォンの縦型画面で見る1話3分程度の動画です。総再生回数が2億回と高い支持を集めている制作チームがどのようにヒットドラマを生み出しているのか、制作の裏側を取材しました。

5年後の市場規模は8兆円超に

Q.SNSでショートドラマを見たことがありますか?
20代の女性「TIKTOKのやつとかですか?あります、あります。恋愛とか結婚生活のやつとか」

若い世代を中心に世界的に流行しているSNSのショートドラマ。スマートフォンの縦画面で見られるよう作られていて、1話は3分程度と非常に短いドラマです。民間の調査会社の試算によると、世界的な市場規模は2029年には約8兆8000億円にのぼると予想されています。

10代の女性「短いからすぐ見られて。続きが気になって、また次のやつをすぐ見てしまう」

「博多弁のショートドラマ」再生回数は2億回

そのショートドラマで、Z世代を中心に支持を集めるのが、福岡市を拠点に活動する制作チーム「福岡ドットコム」です。

20代の女性「博多弁のやつ、見たことある」
高校生の女子「福岡ドットコム、見たことあります」

10万回再生されれば「バズった」と言われるこの業界で、100万回再生を超える作品を次々と生み出し、総再生回数は約2億回にのぼります。友情や恋愛をテーマに日常でありそうなシーンを切り取り、セリフはほとんどが博多弁です。

「福岡ドットコム」監督・役者ら6人で

ショートドラマの制作現場を訪ねました。この日は、マンションの部屋で撮影の打ち合わせです。

「基本、学園モノだね、きょうの撮影は」
「(登場人物の)関係値が難しいなと思うな。そこだけまた浅くならないようにしたいかな」

「福岡ドットコム」のメンバーは、監督や役者など計6人。元々は福岡に拠点を置く小規模の芸能プロダクションでした。

福岡ドットコム 松原隆司プロデューサー「この業界って、オーディション情報を待ったり、オーディションの合否を待ったり、結構“待つ作業”が多いな、と思っていて。だったらもう、自社で攻めて、『自分たちで発信できるコンテンツを作ろう』と去年の2月にスタートしました」

撮影は週に1回のペースで行っています。今回のロケ地は純真高校(福岡市南区)です。

福岡ドットコム 小倉裕一監督「景色やロケ地の場所は、なるべく“福岡らしさ”が出るような所を選んでいたりします」

「福岡ドットコム」メンバーは6人

「福岡ドットコム、ユキネ役のユキネです」(拍手)

今回のドラマには、「福岡ドットコム」の役者4人と別の事務所の役者2人の計6人が出演します。役者は裏方の仕事も兼務しています。

役者のマユさん「私は小道具を担当しています。きょうの学校のシーンだったら『先生役の教科書が要るな』『教材としてプリントが要るな』と準備したり」

役者のユキネさん「私は衣装を担当しています。『この作品は、こういう風に見せたいから、こんな色づかいを』みたいなこと、最近は毎日やっていますね」

ドラマ撮影現場の緊張感

準備を整え、いよいよ撮影開始です。

「いきますか!よーい、スタート!」

先生役「くすのき…きょう、くすのき休みか。じゃあ代わりに…」
生徒役「先生!リアナいますけど」
先生役「お前おったとや!」

役者のハヤトさん「さっき言ってた“悪乗り”みたいなニュアンスのお芝居がいいですか?」
小倉裕一監督「なんか、生徒に近い先生のイメージはあるかな」

ショートドラマとは言え、現場には緊張感が漂っています。監督は演技指導をしながら、納得のいくシーンが撮れるまで、撮影を繰り返します。この日は、20秒ほどの短いシーンの撮影に約1時間かかりました。

スマホ縦画面ならではの撮影

ショートドラマでは、カメラワークも通常とは異なり、一眼レフカメラを縦向きに構えて撮影します。

カメラマン「ドラマ特有の画のつながり、切り返した時の手の動きのずれとかを気にしておかないと。(縦型は)情報が少ないので。寝不足の時はすぐフレームアウトしちゃって。気を付けておかないと」

縦長画角の難しさや、短い時間の中での表現方法…監督は絵コンテで入念にイメージして撮影に臨んでいるといいます。

Q.撮影の時の“こだわり”はありますか?
福岡ドットコム 小倉裕一監督
「一番はやっぱり、お芝居。どれだけ身近に感じてもらうか。『今の言い方、腹立つ』などのアンチコメントも、「いいよね」っていうコメントも全部含めて、(SNSに)打ちたくなるような、書きたくなるような動画を毎日心がけています」

「アジアを活動範囲に」広がる夢

学校シーンの後は、西鉄大橋駅前で撮影、その後は美容室や喫茶店でロケを行い、夜遅くまで撮影が続きました。

福岡ドットコム 松原隆司プロデューサー「これから、韓国と福岡の橋渡しになるような存在になっていきたいと思っています。来年は韓国でドラマ撮影したり、アジアまで活動の範囲を広げていきたいなと思っているので、ご協力お願いします」

福岡から新たな人気コンテンツを発信する「福岡ドットコム」。アジア、そして世界を見据える彼らの活躍から目が離せません。

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