能登半島地震のあと記録的不漁となったベニズワイガニ。例年は9月1日に解禁、2日ごろに初競りですが、今季は猛暑の影響で鮮度を維持できないとして初競りを遅らせ、10日に初競りが行われることになりました。不安と期待が入り混じる中、初競りに臨む富山のカニ漁師を取材しました。

例年ならすでに初水揚げが終わり、浜は活気に満ちている時期ですが、ことしはまだ漁にでることができません。射水市のカニ漁師歴45年の塩谷久雄さん。

今月6日、海に仕掛ける「カニかご」の準備に追われていました。

塩谷久雄さん:「仲買人さんから初売りを遅らせてくれというのは、今までなかったかもしれない。記憶にない」

ベニズワイガニ漁は毎年9月1日に解禁され、新湊漁港では2日頃に初競りが行われていましたが、今シーズンは猛暑の影響で初競りを遅らせ、10日に行われることになりました。

新湊漁協によりますと、厳しい残暑が続き、市場に並べたときのカニの品質の低下を防ぐためだということです。

塩谷久雄さん:「うちのカニかごの漁業者4人ともちょっと遅いわということで意見が一致。涼しくなって漁をするなら10月くらいが妥当だけれど、そうなったらうちらの生活にも響いてくる」

今季の漁が迫ってきた9月7日。塩谷さんは、カニかごや漁船にお神酒をかけ、今季の大漁と漁の安全を祈りました。

富山のカニ籠漁は、餌を入れたかごを水深800mから1000mの海底に連ねて沈め、カニを誘い込みます。

しかし、塩谷さんが漁で使っていた150個のカニかごは、元日の能登半島地震による富山湾内の海底地すべりですべて土砂に埋まってしまったとみられています。

塩谷久雄さん:「1月にもし、10日沖出たとしたら一日30万、40万あったとしたら、10日なら400万円の被害やねけ、道具の被害と乗組員の給料と水揚げできなかった損害と入れたら1000万円でてしまう。甚大やね…。自然災害だからね…」

2月から漁の再開にこぎつけたものの、記録的な不漁に見舞われました。

富山県水産研究所が2月に行った調査では、富山湾のベニズワイガニの個体数が例年に比べ2割以下に激減していたことがわかりました。減少した理由については次のようにみています。

富山県水産研究所:「海底地すべりによってベニズワイガニが生き埋めになったり海底の環境が変化してベニズワイガニが他の海域に移動した可能性などが考えられると思います」

結局、ことし1月から5月にかけて新湊漁協でのベニズワイガニの漁獲量は、前の年の3割ほどにとどまりました。

塩谷久雄さん:「慌ててみたところでどうにもできん。相手は自然だからね。付き合ってやってかんなん。秋の解禁に期待したい」

能登半島地震の影響は続くのでしょうか…。地震で多くのカニかごが流されてしまったため、今シーズンは新たに1つおよそ1万5000円の予備のカニかごを60個購入しました。

島津アナウンサー:「今シーズン初の水揚げに向けてカニかごが海に投げ込まれています」

漁船を進めながらカニかごを沈めていきました。カニかごを仕掛けた場所は、地震の前に仕掛けていたところです。不漁が続いていましたが、場所を変えませんでした。

そこは、ベテラン漁師がこだわり続けた場所でした。地震の影響は続いているのでしょうか?不安と期待が交錯する中、10日に待望の初競りが行われます。

塩谷久雄さん:「海の海上の景色とか状態は地震前と同じですけど、それから3か月間そこに漁獲をしとらんからね。少し増えてないかなと私の思いはあるんですけど。赤いじゅうたんね。赤くなるほど並べて赤くなる。目に映るほどとれてくれたらいい」

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