大名茶人、松平不昧公が命名したとされ島根県松江市を代表する銘菓の一つ「若草」。
このほど、不昧公当時の作り方を再現した若草が完成、お披露目されました。

3つ並んだ若草。
微妙に色合いが違います。
今回、再現された若草は、やや落ち着いた緑色です。

彩雲堂・山口周平社長
「よもぎ若草というものを、きょうは皆様にお披露目、いうことで。」

そう、この緑色はヨモギ。
松江市の彩雲堂本店が江戸時代の製法を再現した「よもぎ若草」です。

松江市・上定昭仁市長
「色も今までの若草色より深くて濃厚ですけど、味もヨモギをしっかり感じることが出来ますね。」「今までの若草で、あまりにおいを意識したことなかったですもんね。すごくやっぱ、良いにおいが。」
松江商工会議所・田部長右衛門会頭)「見た目の緑と、ちゃんとヨモギの香りがするから、三位一体かな、という感じですかね。」

求肥にまぶす餅米の粉には、従来、食用色素が使っていましたが、江戸時代にはヨモギを使っていたことが分かっています。
このため店では不昧公没後200年の2018年、中国産のヨモギで「復刻若草」を作り、好評でした。

しかし山口周平社長はこれに満足出来なかったといいます。

彩雲堂・山口周平社長
「どういった方が加工しているのかという風な、そういった経緯が全く見えない。顔が見えない原料だったもんですから。このもやもやをいろんな方々に相談した中から、本当に皆様からお力添えを頂いて、今回の『よもぎ若草』という完全形が出来たかなと。」

輸入ヨモギの風味に満足出来ず、山口社長は地元、松江市島根町産のヨモギでより完全な再現に取り組むと決意。
出雲市にある日本茶の会社に協力を求めました。

出雲精茶・岡祐太社長
「25キロあります。結構な数が出来ると伺ってるので。楽しみですね。」

出雲市の出雲精茶、岡祐太社長。
ヨモギの鮮やかな色を保つため苦心したといいます。

出雲精茶・岡祐太社長
「30センチ位のバーナーが出て、それ(熱風)を風で送って乾燥させて行くんですけど。(最初)出て来た時に色があまりにも茶色だったんで、これじゃちょっと難しいなと、自分たちでも判断出来たので。」

そこで使ったのが手間がかかる旧式の乾燥機でした。

出雲精茶・岡祐太社長
「透気乾燥機というんですけど、これ開けて、この中にヨモギを入れて時間を見ながらですね、むらがないようにひっくり返して。ミスが起きてはいけないので、担当者1人付けて。1日7時間かけて。この前で1つ1つチェックをしながら、やっていました。」

さらにヨモギの粉砕作業を冷蔵庫の中で行い、摩擦熱による温度上昇を避けるなど、手間はかかるものの鮮やかな緑色を保つことに成功しました。

出雲精茶・岡祐太社長
「(試食で)予想通り良かったという所がありましたので。こうやって地域の皆様と手を携えながら、1つの商品を作って行くっていう所に我々が携わらせて頂いて非常に有難いと。」

彩雲堂・山口周平社長
「今回は本当に生産者の方、そして加工して下さる方の顔が見える、そういった原料ですので。お客様にも自信を持ってお勧めできる商品になった」

山陰両県の直営店舗やオンラインショップを通じて発売された「よもぎ若草」。
松江ならではの古くて新しい和菓子として注目を集めそうです。

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