8日に初日を迎える大相撲秋場所。大きな注目を集める力士の一人が、石川県津幡町出身の関脇・大の里です。

初優勝の夏場所は12勝、その次の名古屋場所は9勝をあげた大の里ですが、秋場所の成績次第では大関昇進の可能性もあります。

大の里が大関に上がるにはどれぐらいの星や相撲内容が求められるのか、展望します。

「直近3場所33勝」がひとつの目安 大の里のケースにあてはめると

大関昇進の目安は、明確に決まっているわけではありませんが、「昇進前直近の3場所で33勝以上」が目安とされています。

平成以降での33人のケースを見ると、32勝でも昇進をしている力士もいます。

あくまで星だけで見た場合ですが、2018年(平成30年)の夏場所後に大関に昇進した栃ノ心は37勝8敗で一番多い勝ち星でした。一方で、最も低いラインは32勝13敗で4人いますが、実は大の里の師匠・稀勢の里もその1人でした。横綱になった稀勢の里のその後の活躍は誰もが知るところです。

大の里の大関とりを考えるとき、ひとつ気になるところが名古屋場所での9勝の成績です。直近3場所はそれぞれ二けたの勝ち星で昇進する力士が多く、大の里の場合、秋場所はハイレベルな成績が求められそうです。

大の里の大関昇進を占ううえで、参考になりそうなのが横綱まで駆け上がった曙のケースです。

曙は3場所前は13勝2敗、2場所前は8勝7敗、直前は13勝2敗で優勝しました。2場所前は8勝止まりで、9勝に終わった大の里と似ているところがあります。

大の里が秋場所で13勝2敗の成績をあげれば、曙と同じ34勝で大関昇進ラインはクリアできることになりそうです。12勝3敗で33勝のラインに乗ります。もちろん数字だけでなく相撲内容も問われることになりますが、大の里自身、日々の稽古では大きな気づきを得ているようです。

師匠との三番稽古に勝ち越しても… 「完全に戦法がばれた」

茨城県阿見町の二所ノ関部屋で2日行われた公開稽古。見学に訪れた部屋の後援会の人たちの注目を集めたのは、師匠と何番も相撲を取る「三番稽古」です。

序盤は、大の里が一気の出足を見せるなどし親方を土俵の外に押し出すなど、持ち味を見せます。

一方の二所ノ関親方も、立ち合いから頭でいくなど厳しい攻めで負けていません。

「巻き替えそうにも空間を詰められて」 元稀勢の里の相撲に‟脱帽”の大の里

大の里は右の下手・左の上手の「右四つ」が、二所ノ関親方は左の下手・右の上手の「左四つ」が得意です。いわゆる「けんか四つ」の両者です。

三番稽古の中では、親方十分の左四つの態勢から大の里が右差しを狙って巻きかえようとするところを寄り切られる場面が2番ありました。

三番稽古は、17番を取って大の里が10勝7敗と場所を見据えた気迫を見せ、勝ち越しました。しかし、師匠との取組で得たものは大きいようで、大の里の口からはこれからの課題が出てきます。

大の里「当たっているように見えたけど、完璧な当たりじゃなく、タイミングをずらされて。右はおっつけながら、差させてはもらえず、密着されているので巻き返そうにも空間を詰められて。動く余地もなくしたから持っていかれて。仕切りの部分で完全に戦法がばれた」

得意とする右差しを許さないなど大の里に対し「技能相撲」も見せつけた元横綱・稀勢の里。その偉大さを感じた17番の相撲だったようです。

大関とりについては、「特に意識せずに臨みたい」と話す大の里ですが、角界の新たなヒーローを望むファンの期待は大きい秋場所の土俵になりそうです。

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