気象庁は台風の進路予想図を初めとした台風情報について大幅に見直す方向で、4日、有識者による検討会を立ち上げました。「社会的なニーズに応じて詳しい情報提供を目指す」としていますが、海外の予報機関の台風情報の出し方なども参考に、情報を出すタイミングや進路予想図などの表示方法、量的な予想数値の出し方などを含めて大幅な見直し目指すとしています。
そこで気象庁の台風進路予想の変遷や海外ではどのような台風情報の発表が行われているかについて見ていきましょう。
気象庁の進路予想図 40年以上大きく変わらない「予報円+暴風警戒域」
現在、気象庁が発表している台風情報は、
「台風経路図」「暴風域に入る確率」「台風に関する気象情報(気象庁本庁や気象台が発表する情報)」を発表しています。
このうち台風経路図は、「予報円+暴風警戒域」が円で示されるもので、みなさんおなじみの進路予想図です。
また暴風域に入る確率は分布図と地域ごとの時間変化をグラフで示すもので、気象庁ホームページで見ることができます。ただ見たことがない…という方もいるかもしれません。
気象庁の台風予報は、当初(1953年~)は扇型で進行方向のみの誤差を示す形でした。その後(1982年~)は「予報円」の形に変わって「方向+速さ」の誤差を表示するようになりました。さらにその後(1986年~)は、「予報円+暴風警戒域」が円で示される形となり、この形は表示方法の改良や精度の向上などはありますが、基本的にはこの40年ほど大きく変わっていません。
「もっと早い段階から情報を」 海外では半年間からの予報も
今回、気象庁は台風予報の大幅な見直しを検討するにあたり、複数の民間企業・団体に対して、現在の台風情報の活用状況や要望についてヒアリング調査を行っています。
台風発生前の情報についての要望や課題として、「1か月よりもさらに前の情報」や「1週間~1か月程度前の情報」の発表を望む声が挙ったほか、「1週間前からの情報」についても、より精度高く、より詳しい情報を望む声が挙っています。
気象庁は「社会のニーズに応じた、より早くからの様々な時間スケールの情報をシームレスに提供するべきではないか」としています。
また、台風発生後の情報について、気象庁は「社会の様々な事前の対策や防災対応が効果的に行われるためには、台風の特徴を伝えるきめ細やかな情報を提供するべきではないか」としています。
4日に開かれた第1回目の検討会では、どのような情報を発表すべきかについて、海外の予報機関が発表している台風情報も参考資料として提出されました。では世界各国の予報機関がどのような台風情報を出しているのか見ていきましょう。
数か月以上前からの情報
数か月以上前からの情報として、シーズンの発生数予想や6か月先までの存在頻度を発表している機関があります。
ヨーロッパ中期予報センター
アメリカ海洋大気庁
1か月前からの情報
1か月前からの情報として、台風が発生する領域とその確率、または存在確率分布を週別に発表している機関があります。
アメリカ海洋大気庁、ヨーロッパ中期予報センター
インド
1週間前からの情報
1週間前からの情報として、多くの機関で台風が発生する領域とその確率、または存在確率分布を半日~数日ごとに発表しています。
アメリカ海洋大気庁
オーストラリア
ラレユニオン(フランス)
世界各国の予報機関 “台風発生後”の進路予想図は
台風経路図(北西太平洋海域)
予報時間は5日先まで、時間間隔は2~3日先まで12時間、その後24時間が多くなっています。進路予報の誤差表示はコーン、風分布の解析・予報は円または4象限となっています。
※4象限とは4つのエリアにわけてそれぞれについて風の強さなどを表示し、風の強弱に応じて象限の表示の広さが変わって表示されます。
中国
韓国
香港
アメリカ軍合同台風警報センター
台風経路図(他の海域)
予報時間は5日先まで、時間間隔は3日先まで12時間、その後24時間、または5日先まで12時間が多くなっています。進路予報の誤差表示はコーン、風分布の解析・予報は4象限または詳細な分布が多くなっています。
インド
アメリカ海洋大気庁
オーストラリア
ラレユニオン(フランス)
視覚的にわかりやすく 海外予報機関の暴風の分布や高潮の情報
風分布情報
米国は各風速が吹く確率、到達時間の情報を発表しています。インドは各風速が吹く範囲について、5日先までと1日ごとの情報を発表しています。
アメリカ海洋大気庁
インド
高潮の情報
高潮の情報として、米国やインドでは沿岸ごとや分布図でピークの潮位を発表しています。
アメリカ海洋大気庁、インド
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