野菜は畑で栽培するもの?いえいえ、そうとも限りません。オフィスで育てた新鮮な野菜をこども食堂などに届けることで、貧困をなくす取り組みに賛同企業を巻き込み、好循環を生み出そうとしている人がいます。

豊見城市にある「子どもの広場in我那覇」。

こども食堂の運営や学習支援などを行っています。みんなが食べているサラダに使用されている野菜が育てられているのが、畑ではなく、オフィスなんです。

「子どもの広場in我那覇」


▽與那覇仁さん
「オフィス内で野菜を育てていただいて、月に1度収穫して子ども食堂や必要とするところに寄付をしています」

こう語るのは、県産食材を使用した加工品の製造販売やカフェの運営などを展開する「478(ヨナハ)カンパニー代表、與那覇仁さん。

2021年、オフィスで野菜を育て子ども食堂に提供するプロジェクトを立ち上げました。

與那覇仁さん(478カンパニー代表)

▽與那覇仁さん
「この活動を始めるにあたって子ども食堂に行かせてもらったときに、なかなかご飯を満足に食べられてない子たちのお話を、実際に目の当たりにした。本当に今の時代にそういったことも結構あるんだなっていうのを感じて…」

県の調べによると沖縄は、国や地域の水準と比較して大多数より貧しい状態を表す“子どもの相対的貧困率”が29.9%と、全国平均の約2.2倍。

厳しい生活環境にある子などを支える子ども食堂の数は年々増え、現在県内では316か所の施設が運営されています。

そんな現状を目の当たりにした與那覇さんは、新鮮な野菜をたくさん食べてほしいと、サニーレタスなどの葉物野菜をオフィスでも手軽に育てられるキットを考案しました。

手軽に野菜を栽培できるキットを考案


▽與那覇仁さん
「ゼオライトという土に栄養分などが吸着されていて、水をあげるだけで、こんなに大きく野菜が育つという」

活動を長期で続けたいという思いから他の企業とも連携し、現在20社以上の企業とこのプロジェクトを進めています。

虫や雑菌が軽減できる特殊な土が使われているので、賛同企業はキットを購入して
水を与えるだけで、約3~4週間で収穫できる仕組みです。

導入企業 沖縄伊藤園

▽沖縄伊藤園 宮里さん
「気が付いたら毎日確認はしていますね」

野菜を育てていく中で社員の間では新たな効果も生まれました。

▽沖縄伊藤園 時田さん
「このようなファームの取り組みを通じて、野菜がすくすく育つと社内の話題のひとつにはなっているのかなと思っています。これを社員全体に広げていければ」

沖縄伊藤園 時田さん

「また多くの賛同企業が集まると、このプロジェクト自体の認知度がもっと上がると思うので、より良いものができるのかなと思います」

メンテナンスや野菜の収穫など全て「478カンパニー」が行い、持ち帰った野菜はカットして梱包し、食の支援活動を行う団体「おきなわ子ども未来ランチサポート」へ届けます。

これまでに2万4千食以上のサラダを寄付しました。

これまでに2万4千食以上を寄付

▽「おきなわこども未来ランチサポート」の配送を担当する伊森さん
 「子どもたちの居場所に欠かせない食支援だと聞いております。野菜を持ってくるだけじゃなくて、478カンパニーさんで加工してくれてすぐに食べられるように提供いただいているので、こちらとしても助かります。新鮮な野菜ということで子どもたちも大変喜んでいるそうです」

「いただきます!」

子どもたちのにぎやかな笑い声が聞こえる子ども食堂。寄付されたサラダが夕食に盛り付けられています。スタッフからはー

▽子どもの居場所in那覇 統括責任者 柴田さん
「野菜嫌いの子が少しずつ食べられるようになったり、サラダがあることで彩りが良くなって助かっています」

ー子どもたちは…

「香ばしい野菜とドレッシングが合って美味しいです」
「全部食べたー!!」

企業が連携して、オフィスで育てた野菜を子どもたちに届けるこの活動はSDGsの目標につながっています。

478カンパニーの與那覇代表はこの活動を多くの人に知ってほしいと、今後はオフィスだけでなく商業施設などへも野菜ユニットの設置を増やしていきたいと考えています。

活動をさらに発展させたいと願う與那覇仁さん

▽與那覇仁 代表
「屋外にも置ける(植物)コンテナのようなもので、どこでも栽培ができるようなものを作りたいなと思っています」

478カンパニーではプロジェクトに参加する事業者を引き続き募っています。(RBC NEWS Link「つなごう沖縄」9月5日放送回 取材 鎌田かなこ)

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