南海トラフ巨大地震以外にも関西に潜む大地震のリスクがあります。最大震度7を観測すると言われている活断層「花折断層」(はなおれだんそう)です。その被害想定とは一体どのようなものなのか、取材しました。
8月8日の地震 南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」初めて発表
8月8日、宮崎県を襲った最大震度6弱の地震。震源は日向灘で地震の規模を示すマグニチュードは7.1。気象庁は南海トラフ地震臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表しました。
関西でも海水浴場が相次いで閉鎖されたほか、非常食が一時、品薄となるなど、巨大地震と津波への不安が広がりました。しかし、関西に潜む大地震のリスクは南海トラフだけではありません。
京都にある「花折断層」 被害想定は死者最大4660人
今年5月、京都市役所前で行われた市民向けの防災イベント。“ある活断層”への注意が呼びかけられていました。
(京都市消防局の職員)「京都で地震を起こす断層をご存じですか?花折断層というのが一番大きい断層で。(最大)震度でいえば震度7、能登半島地震と同じくらいの地震」
花折断層は京都市左京区にある吉田山の西側を先端とする活断層です。断層は京大農学部のグラウンドを通って、市街地を北北東に横切り、三千院がある大原へ。そこから比良山系を抜けて滋賀県高島市まで全長は約47kmに及びます。京都府によりますと、想定される最大のマグニチュードは7.5で、その場合、京都市内では震度7を観測すると言われています。
そして今年4月、府は新たに花折断層による地震の被害想定を発表しました。
死者(最大)4660人、負傷者(最大)6万830人。
“京都らしさ”の木造家屋がリスク「住宅が密集する街の構造が延焼に拍車をかける」
なぜ、これほど大きな被害が予測されているのでしょうか。防災学の専門家である牧紀男教授は、京都の街並みにその理由があるといいます。
(京都大学防災研究所・牧紀男教授)「“京都らしい景色”でもあるのですが、やはり地震のときには火がどんどんと次に移って止まらない」
牧教授がリスクとして指摘するのは町家などの木造家屋です。“京都らしさ”の象徴とも言えますが、大地震が起きれば火災が広がる恐れがあります。さらに…
(牧紀男教授)「火災は広い大きな通りにいくと。それから先には飛び越えていかないんです、燃えるものがなくなるので。この道を見ていただくと約3mで、ここの木造住宅で火災が起きると、向かい側の家にも広がっていってしまう」
住宅が密集する街の構造が延焼に拍車をかけるといい、府の被害想定でも焼失する建物の数は最大2万3500棟にのぼるとされています。火災による被害を拡大させる要因は他にもあります。牧教授と街を歩いていくと…
(牧紀男教授)「家の入り口みたいですね、たぶん路地ですね。ここが地震で壊れてしまうと、この奥に住む人は外に出て来られない
京都でよく見られる家と家の間を通る小さな路地。幅は1mほどで進んでいくと複数の住宅が軒を連ねています。こうした路地は「袋路」と呼ばれ、奥は行き止まりになっていて火災の際に逃げ遅れが発生しやすいといいます。
(牧紀男教授)「火災が迫ってくると、建物は大丈夫でも出口が塞がれてしまって、逃げられなくて命を落とすと。それが大変心配だなと」
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