長崎県のJR大村駅の構内に67年も前から飾られている生け花で毎週欠かさず新しいものに取りかえられています。花を生けているのは御年99歳、「生け花一筋の人生」を歩む女性です。

■大正14年生まれ 11歳で生け花を始める

駅の構内を鮮やかに彩る生け花。この場所で、67年も前から駅を利用する人たちの目を楽しませています。生けているのは笹山トヨ子さん、大正14年生まれの御年99歳、現役の華道家です。現在、大村市の自宅で暮らしている笹山さん。生け花を始めたのは笹山さんが11歳のとき、きっかけは近所で開かれていた花の展覧会でした。美しさに惹かれ通い始めた生け花教室。苦しい戦時中もそれは変わりませんでした。

(笹山トヨ子さん)

「私たちは軍からきた仕事を講堂のような広い部屋でみんな縫いものをしたりなんかする。でもね、走って、お稽古の日は、先生方に走りよったと。それが1番の私の興味っていうか趣味っていうか、憩いの場やったね、お花が」

■「お花一筋」の人生

2004年には緑綬褒章を受章し、今は流派のなかで全国にわずか4人しかいない「准華老」と呼ばれる上から2番目の位を与えられています。

(笹山トヨ子さん)

「(長年の功労・功績が認められた人に贈られる金のはさみを持って)贈るって書いてあるでしょ、笹山トヨ子って。お墓に持っていくつもり。お骨のうえにお墓でね、載せとってもらうつもり」

自宅で毎週開いている教室には県内外から生徒が訪れます。

(武雄市から)「先生に惚れ込んで来ました」

(長崎市から)「なんか生き字引みたいなんですよね、小学校からされてるから。全然足元にも及ばない」

■生ける花は自ら足を運んで選ぶ

はさみを持つ姿勢と、花に向き合う心は11歳の頃から変わらないまま。時代とともに変化してきた花の種類や生け方も面白さの1つだと話します。

(笹山トヨ子さん)

「やっぱり時の流れに沿ってみんなの心が変わってきたさ。だって全ての行事が変わったでしょ。年中同じことじゃなくて、スタイルも変わるし、器も変わるし。その辺考えて、いつも。100歳だもんね」

大村駅の生け花の入れ替えはこの67年間、毎週欠かしたことはありません。もともとは教室のPRのために始めたものでしたが、駅の利用客にとって日々の癒しになっています。生け花の世界に定年はないと話す笹山さん。「生涯現役」が目標です。

(笹山トヨ子さん)「1番幸せで、1番気持ちが安定して、こんな幸せな時間ないよ。命ある限り、それは当然でしょ。花ばさみ持って、花を生け生け、息絶えたいと思ってます」

花とともに。生け花が笹山さんの人生を彩ります。

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