7年前、福岡県内の歯科医院で2歳の女の子がむし歯の治療後に死亡した事件で、当時司法解剖し鑑定書を作成した医師が「麻酔治療が必要なむし歯は1本もなかった」と証言しました。

事件をめぐっては歯科医院の院長が「適切な救命措置を怠った」などとして1審2審とも有罪判決を受け、現在最高裁に上告中です。

判決が確定する前の異例の証言。

医師は「そもそも麻酔を使用した治療が必要だったのか」と疑問を呈し、事件の背景に過剰治療の問題を指摘しています。

死亡翌日にみた叶愛ちゃんの歯「ひとめ見てびっくりした」

九州大学名誉教授・池田典昭医師
「歯をあけて一目見てびっくりしました。歯肉に麻酔薬を打って削る、そういう治療が必要な歯は少なくとも、私と口腔外科の医師、歯科の助手の医師、司法解剖の場にいた3人で見た限りでは疑問だなと思いました」

法医学者として、これまで4500体の遺体を解剖した九州大学名誉教授の池田典昭さん(67)。池田さんは、九州大学医学部の教授だった2017年、福岡県警からの依頼を受け山口叶愛(のあ)ちゃん(当時2)を亡くなった翌日に司法解剖し、死因を局所麻酔薬「急性リドカイン中毒にもとづく低酸素脳症」とする鑑定書を作成しました。

山口叶愛ちゃん 歯科治療のあと体調急変し死亡

山口叶愛ちゃんは2017年7月、福岡県春日市の歯科医院で局所麻酔薬リドカインを使用して歯を削る治療を受けた後体調が急変し、2日後に搬送先の病院で死亡しました。治療後、唇が紫色になるなど娘の異変に気付いた両親が、何度も「様子がおかしい」と訴えたものの、歯科医院の院長は「子供にはよくあること」などと言い救命措置を行わず救急車を呼ぶこともありませんでした。

歯科医院の院長(当時)が起訴された

院長の高田貴被告(58)が業務上過失致死罪で起訴され、裁判では、1審2審とも「適切な救命措置を怠り、局所麻酔・リドカイン中毒による低酸素脳症で死亡させた」と認定。高田被告に禁錮1年6か月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。高田被告は上告しています。

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