宮崎県内各地に被害をもたらした竜巻とみられる突風についてです。
宮崎でなぜ相次いで発生したのか?
専門家は、「宮崎は日本で最も台風による竜巻が起こりやすい場所」だと指摘しています。

台風に伴う竜巻 今回は典型的な事例

先月28日午後2時ごろ、宮崎市佐土原町で発生した竜巻とみられる突風。

さらに、同じ日の午後11時ごろにも宮崎市赤江から柏原にかけて竜巻とみられる突風が発生し、その後、気象台は、突風の強さは風速およそ65メートルと推定されると発表しました。

また、都農町や門川町でも突風による被害が起こっています。

宮崎で相次いで発生した竜巻とみられる突風について、竜巻のメカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授は。

(防衛大学校地球海洋学科 小林文明教授・気象学専門)
「台風の中心から見ると、進行方向の右手前方、北東側に宮崎が位置していて、つまり、積乱雲の塊の列が次々と入り込んでくる。その積乱雲1個1個が竜巻を生むポテンシャルを持った積乱雲になったというふうに考えると、台風に伴う竜巻の今回は典型的な事例であったといっても過言ではない」

発達した積乱雲が列をなして県内に流れ込んだ

小林教授によると、竜巻は台風の中心から腕のように延びた「アウターレインバンド」と呼ばれる積乱雲の列で発生しやすく、その台風の腕は、200から600キロ程度に及ぶということです。

こちらは台風当時の雨雲の動き。

台風10号の中心から離れている宮崎県に発達した積乱雲が列をなして県内に流れ込んでいるのがわかります。

(防衛大学校地球海洋学科 小林文明教授・気象学専門)
「(積乱雲の列)1個が通り過ぎても、また、次のものがちょっと位置と時間をずらして上陸して竜巻をもたらすということを繰り返していって、結果的にいろんな場所で複数の竜巻が起こったと考えるのが自然ではないか」

台風10号が終わって終わりではなく、9月中くらいは注意が必要

過去にも竜巻の被害が相次いでいる県内。

2006年には延岡市で発生した竜巻で3人の死者が出ました。
この時の竜巻も、県内が台風の暴風域に入る前に発生しました。


気象庁によりますと、県内では、1961年以降、竜巻が42件発生し、このうち台風関連で発生したのは30件と全体の7割以上を占めています。

(防衛大学校地球海洋学科 小林文明教授・気象学専門)
「宮崎平野というのは、まさに日本で最も台風による竜巻が起こりやすいところ。特に九州というのはよく台風というのが通り道になるので、台風が上陸するかなり前、台風の中心から離れている場所で起こるということで、特にそういう条件が宮崎平野というのは整っている。ほとんどすべての条件が整った状態で起こったという意味では、やはり起こるべくして起こった竜巻である」

小林教授は、台風が接近する際には、雨や風だけでなく竜巻も起きやすいということを知っておくことが対策につながると話した上で、引き続き注意が必要だとしています。

(防衛大学校地球海洋学科 小林文明教授・気象学専門)
「さらに、日本の竜巻のピークは9月。この台風10号が終わって終わりではなく、9月中くらいは注意が必要」

※MRTテレビ「Check!」9月2日(月)放送分から

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