「まつ毛ダニ」とも呼ばれる、顔の毛穴に寄生するダニ「デモデックス」。高齢者やアイメイクをしている人はこのダニがまつ毛に増殖しやすく、様々な目のトラブルの原因になることもあります。花粉症とも間違えやすい「まつ毛ダニ」による症状などを取材しました。

提供:南青山アイクリニック 加藤直子医師

細長く、先端に突起がある特徴的な形の生物。

こちらは、「まつ毛ダニ」や「毛のう虫」とも呼ばれる「デモデックス」というダニで、健康な人の顔にも多く存在し、成人の2人に1人のまつ毛に寄生していたという研究データも発表されています。
(※以下「まつ毛ダニ」と記載します)

大きさはおよそ0.4ミリ、肉眼では確認することができません。

「まつ毛ダニ」は、毛穴や皮脂腺に住み着き皮脂をエサとしていて、基本的には無害です。

しかし、エサである皮脂が過剰に分泌されるような不衛生な環境だと、異常に増殖し、アレルギー反応やドライアイといった様々な目の炎症を引き起こすのです。

脂を出す「マイボーム腺」が詰まる

提供:南青山アイクリニック 加藤直子先生

こちらは高齢男性の目、まぶたにデキモノができています。

たち眼科・舘奈保子医師:「こちらは高齢男性の目ですが、霰粒腫(さんりゅうしゅ)いわゆる『ものもらい』ができていて、全体に眼瞼炎(がんけんえん)というまぶたの炎症を起こしています」

この炎症の原因と考えられるのが、「まつ毛ダニ」によるマイボーム腺の詰まりだといいます。

たち眼科・舘奈保子医師:「まぶたにはマイボーム腺という脂を出す管があって、涙を安定して目の表面に置いておくためにこの脂が必要になります。『まつ毛ダニ』が増殖すると、マイボーム腺が詰まりやすくなり、目を覆う涙が不安定となりドライアイとなります」

ドライアイにより、涙が不安定だと目の表面が傷つき、細菌に感染しやすくなることで様々な炎症が起きてくる可能性があるということです。

花粉症だと勘違いし治療が長引くことも

患者の中には、「まつ毛ダニ」による症状が花粉症だと勘違いして受診する人も多いといいます。

たち眼科・舘奈保子医師:「目が痒くなったりゴロゴロしたりすると花粉症かなと思う方もいらっしゃるのですが、マイボーム腺の詰まりによるドライアイという場合があります」

ドライアイになると…
①目がゴロゴロする
②目を開けているのがつらい
③余計な涙が出てくる
④チクチクする

などの様々な症状がみられます。

たち眼科・舘奈保子医師:「花粉症だと思い抗アレルギー薬などで治療をし、一時的によくなったものの長い期間症状がよくならないといった人は、『まつ毛ダニ』による炎症が確認できることがあります」

「もちろん、細菌なども関係している場合があるので、抗菌作用がある目薬や飲み薬を処方しますが、『まつ毛ダニ』が増殖している状態だと薬でも治りにくくなるといわれています」

アイメイクの洗い残しなどが増加の原因

薬でも症状が治りにくくなるという、やっかいな「まつ毛ダニ」。

増殖しやすい人は、目の周りが不衛生であることが多いといいます。

提供:南青山アイクリニック 加藤直子医師

こちらは70代女性の目。まつ毛の周辺に黄色い脂の塊がたくさんついています。

このようにまつ毛周辺に脂やフケがたまっている人は「まつ毛ダニ」が増殖している可能性が高いといいます。

提供:南青山アイクリニック 加藤直子医師

たち眼科・舘奈保子医師:「『まつ毛ダニ』は加齢とともに増殖する一方、若くてもメイクの洗い残しなどで不衛生な状態にしているとエサとなる脂が多くなるので、『まつ毛ダニ』も増殖します。とくに、まつ毛のエクステをしている人は、エクステが取れることを恐れてしっかりとまぶたを洗わない場合があり、そういった人は要注意です」

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