最終日を迎えた「おわら風の盆」は三日三晩にわたり好天に恵まれ、訪れた観光客は19万人にのぼりました。情緒あふれる踊りと哀調の音色でおわら一色に染まった坂のまち…3日間を振り返ります。

富山に秋の訪れを告げる「おわら風の盆」…富山市八尾町で300年以上受け継がれているおわら風の盆は、立春から数えて二百十日の台風到来の時期に、風封じを行い、五穀豊穣を願う民謡行事です。

高知から2回目:「素敵よ。哀愁、泣ける。高知もよさこい踊りあるけどまた全然違うよね」

東京からの観光客:「私は20回ぐらい。おわら風の盆の大ファンで。富山の伝統が本当にすばらしくってここにこれて本当に幸せだなと思いました」

毎年9月1日から3日までの期間中、踊りを受け継ぐ11の町内でそれぞれ、町流しや輪踊りなどが行われます。

前夜祭や深夜の町流しはなくても…

9月1日、富山市八尾町西町、午後4時ごろ。西町では練習を重ねてきた踊り手や地方が大観衆の前でことし初めての踊りを披露しました。

岐阜からの観光客:「女の人が綺麗だし踊りもしなやかだし、とても風情があってよかった」

京都からの観光客:「女性の方は中学生か高校生ぐらいでしょ。踊りにものすごい色気がある」

西町 総代 山中茂さん:「最後はみんなが楽しかったという感想が聞けるおわらにしたい」

ことしのおわら風の盆は、新型コロナウイルスの影響で3年ぶりに開催された去年と同様、前夜祭や深夜の町流しを行わず、実行委員会は今後のおわらの開催方法を検証する年に位置付けています。

女性でも感じる色気が、ものすごく美しい…

日も暮れ、坂の町にぼんぼりの明かりが灯りはじめた午後7時半ごろの諏訪町です。石畳の通りに白壁の町家が立ち並ぶ諏訪町は、伝統の町流しを一目見ようと多くの人で埋め尽くされていました。

坂の町の風情を色濃く残している諏訪町、哀調の音色を奏でる胡弓と三味線の音が響き渡りました。

石川県からの2人:「ベリーナイス。ベリーベリーナイス」「とても美しいと。踊りはすごいですね。本当にうれしかった」

富山県内の女性2人:「すごい、かっこいいお姉さんがきれいで、やってみたいなと思いました」「指先が、もう女性でも感じる色気が、すごい美しいなって…」

楽しかったと言える“おわら風の盆”に…

上新町、午後10時ごろ、各町では踊り手の輪に観光客が加わり一緒に踊る大輪踊りが行われていました。

愛知県から:「せっかく初めて参加したからには踊りたいと思って。見よう見まねで踊りましたが楽しかったです。見てているよりも一緒に輪になって踊るのが楽しかったです」

最終日の9月3日、坂のまちの賑わいは最高潮に達していました。ことしは3日間で19万人の人が訪れ、コロナ禍前の2019年の17万5000人を上回りました。

「楽しかったと言えるおわらにしたい」踊り手や地方が一丸となって臨んだ西町の最後の演技です。

西町 踊り手 浅野颯来さん:「一つになった気がしてすごく達成感もあったのですごく楽しかったです」

西町 踊り手リーダー 浅野楓月さん:「80点くらい。もっと出来るところもあったのでまた下の子にそれを含めて伝えて行きたい」

西町総代 山中 茂さん:「あっという間の夢見心地みたいな感じでした」「今私たちの町の人材不足が深刻な状況になってます。私たちの町だけじゃなくてどこの町も人材不足に困ってると思うんですけどいかに楽しいおわらをしたいなと。小さい子がいかに先輩たちの姿を見てやっぱりおわらにでたいなって思えるそんなおわらにしたいなと」

毎年、各町が試行錯誤し、作り上げる伝統のおわら。今後も若い世代に引き継がれていきます。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。