福島県内では、自転車の盗難が増え続けていて、県警によりますと、今年県内で起きた被害は7月末までに679件と、去年の同じ時期より163件増えています。被害にあった自転車の3分の2は、鍵をかけずに駐輪されていました。被害を防ぐために、施錠を促すための新たな看板が、郡山市で設置されました。

27日、JR郡山富田駅前の駐輪場に掲げられた立て看板や横断幕。「この駐輪場では90%以上の人がカギをかけています」「いつもカギをかけていただきありがとうございます」「カギかけの1秒が自転車を守ります」などと書かれ、自転車の盗難防止を呼びかけるものです。

ある科学的知見を採用したというこの看板。これまでとは何が違うのでしょうか。

お願い、強制ではない『ナッジ理論』とは

県警 生活安全企画課・杉崎俊秀管理官「行動科学の中の『ナッジ理論』というものを活用して、看板を作成しました」

「ナッジ理論」を活用した看板。例えば「鍵をかけよう」などという直接的な表現ではなく、見た人が自ら鍵をかけるよう促すものです。

杉崎管理官「人の行動をお願いしたり、制約したり強制する、直接働きかけするものではなく、そっとこの看板を見て後押しする、そういう効果がある」

科警研や福島大学の有識者とともに制作したこの看板。警察は、被害が多い14か所の駐輪場に看板を設置して、効果を確かめることにしています。

身の回りにもたくさん使われている『ナッジ理論』

「ナッジ」とは、英語で「そっと後押しする」という意味があります。つまり、命令や指示ではなく、受け取る側に選択の余地を残しながら、行動の変容を促すものです。

実は、私たちの身の回りにも、「ナッジ理論」がたくさん使われています。例えば、トイレでよく目にする「いつもきれいに使っていただきありがとうございます」という掲示や、レジに並ぶ際の足跡マークも、命令や指示ではなく、そっと後押ししているものです。

今回の看板も「カギかけの1秒が自転車を守ります」などという文言で、選択の余地を残しつつ、鍵をかけるよう促すものです。警察では、今回の結果をまとめたうえで、より効果的な防犯対策に生かす考えです。

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