新潮文芸振興会は30日、優れたノンフィクション作品に贈る「第23回新潮ドキュメント賞」が、東京新聞社会部の小沢慧一記者「南海トラフ地震の真実」(東京新聞)に決まったと発表した。小沢記者は2020年に科学ジャーナリスト賞を、23年には同書で菊池寛賞を受賞している。

小沢慧一記者

 振興会事務局は授賞理由について、「南海トラフ地震の発生確率は他の地震とは違う基準でつくられていた。その根拠となる一次資料に当たり、信ぴょう性を検討していく過程に、ノンフィクションの醍醐味が感じられる」としている。  同書は、30年以内に70~80%とされる南海トラフ地震の発生確率は「水増し」されており、予算獲得などのために科学がゆがめられる実態を丹念な調査報道で暴いた。18~22年に東京新聞・中日新聞で南海トラフ地震の確率問題を追究した連載を執筆。昨年8月に東京新聞から出版した。  選考委員は、池上彰氏、梯(かけはし)久美子氏、桜井よしこ氏、藤原正彦氏、保阪正康氏の5人。

新潮ドキュメント賞に選ばれた社会部小沢慧一記者の著書「南海トラフ地震の真実」

◆最終候補作に東京新聞・森合正範記者も選出

 最終候補の5作品には東京新聞運動部の森合正範デスク「怪物に出会った日 井上尚弥と闘うということ」(講談社)も残り、同時期に同じ報道機関から複数の著作が選出されるのは初めてだった。  賞金は100万円。贈呈式は10月11日に東京・虎ノ門のホテルオークラ東京で開かれる。


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