国内で“コメ不足”が叫ばれる中、待ちに待った24年産米の出荷が始まります。富山県の早生品種「てんたかく」の初検査が行われ、猛暑や大量発生のカメムシの影響が懸念されましたが、検査ではすべて1等でした。「おいしい」富山のコメが、あす27日から県内外に出荷されます。

あの“平成の米騒動”から30年…。“米騒動発祥の地”富山県でも、“米不足”の事態に陥っています。富山県立山町のスーパーセンターシマヤ立山店のコメの売り場をのぞいてみると、一部欠品の銘柄も出るなど品薄状態になっていました。

今月8日に宮崎県の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震で、気象庁が初めて南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」を発表し、備蓄用のコメを購入する人が増えたことに加え、お盆に入ってから富山県外の家族や親戚のために購入する人が増えたことなどがその要因とみられます。

シマヤ立山店・食品チーフ・尾山徹宏さん:「お盆の前半のときに商品自体がすっからかんになって、ほぼない状態になっていました。下の段の方は、ほぼゼロに近い状態」

農林水産省によりますと、今年6月までの主食用のコメの需要は、前の年の同じ時期より11万トン増の702万トンで、10年ぶりに増加に転じました。

パンや麺などよりも値上がりの幅が緩やかだったことやインバウンドが増加したことなどによってコメの需要が伸びたとみられます。

こうしたことから、今年6月末までの全国のコメの在庫量は156万トンと統計のある25年間で最も少なくなりました。

一方で、去年の猛暑の影響で、コメ供給量が少なかったため、品薄状態になっているとみられます。

店舗では、今月下旬に早生品種の「てんたかく」の新米が入荷される予定で、それまでは在庫を切らさないようにしたいとしていました。

そして26日、「てんたかく」の出荷を前に初検査が行われました。

待望の24年産米「てんたかく」のできは?

そんな中、26日、富山県砺波市で待望の「てんたかく」の初検査が行われました。検査が行われたのは8月19日から2日間に渡って砺波市と南砺市で収穫された早生品種の「てんたかく」およそ13トンです。

検査では、粒の大きさや水分量、カメムシによる被害などを調べました。今年は連日の猛暑に加えカメムシが大量発生し、品質の低下が懸念されましたが、水の管理や草刈り、害虫の駆除を徹底した成果が実り、検査された全てが1等に格付けされました。

JAとなみ野 清原一郎次長:「昨年よりも若干カメムシの被害は多いということですが、全量1等だったということで、おいしいてんたかくを味わっていただければ」

全国的にコメが品薄になる中、「てんたかく」は富山県産米のトップバッターとして市場に出回ります。

JAとなみ野・清原一郎次長:「直売所の方も令和5年産のコメがだいぶ減ってきておりますので、早く新米ほしいよというお声を聞いておりますのでぜひおいしい『てんたかく』を味わっていただければなと考えております」

「てんたかく」は、27日から道の駅砺波で販売がスタートし、その後、富山県内外へ出荷されます。

JA全農とやまが発表したことしの概算金は「てんたかく」の一等米で、60キロあたり1万5100円と、去年より3500円高く設定されました。概算金の値上げに基づきコメの価格は値上がりするとみられます。

他にも、主力品種「コシヒカリ」の一等米で1万6000円、また、「富富富」の一等米で60キロあたり1万6800円といずれも去年より3000円高く設定されました。すべてのうるち米が3年連続増加。概算金の額は直近の10年で過去最高額となりました。

JA全農とやまは値上げの理由として、米以外の食料品の価格上昇により市場での米の需要が高まっていることや、肥料や原油価格の高騰で、生産コストが増加していることを挙げました。

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