台風10号 九州の南の海上まで西寄りに その後北東方向へ 

台風10号は、25日夜には日本の南の海上にあって西北西へと向かっています。中心気圧は980hPa、中心付近の最大風速は35m/sで暴風域を伴っています。この1日は勢力はほとんど変わっていませんでしたが、このあとは海水温や上空の風の状況が発達しやすい環境となるため勢力を強める予想です。

気象庁進路予想(JMA)

台風10号はこのあと西寄りへと進んで、27日(火)夜には九州の南の海上を中心とする予報円に達する見込みです。その後は進路を北から北東寄りへと大きく変えて、四国・中国・近畿方面へと進む予想となっています。

台風が進む予想となっている海域の海水温度が30℃前後と非常に高いことや、鉛直シアは小さく台風の発達を妨げるような上空の風の場とはなっていないため発達しながら九州の南の海上に達する27日(火)夜には「非常に強い勢力」となる予想です。

【画像で確認】台風10号の接近タイミング&影響長引くおそれ 31日までの大雨・暴風・高波シミュレーション

西日本に直撃後も速度上がらず 週末にかけて影響長引くおそれ

この4日間の進路予想を比べると、次第に西寄りへ大回りする方向へと変わってきています。その分、本州へ接近するタイミングも遅くなっています。

台風の進路予想図で示されている白い円の大きさは「予報円」で、台風の中心が到達すると予想される範囲を示しています。 予報した時刻に、この円内に台風の中心が入る確率は70%です。 円が大きくなっているからといって台風が大きくなることを意味するものではなく、予報のバラツキを表しています。

25日(日)夜の時点の予想では、28日(水)夜に四国に上陸するかどうか、29日(木)夜の時点で日本海へ抜けるかどうかという予想になっています。

29日(木)夜の予報円は非常に大きくなっていますが、これは進路コースのブレ幅もありますが、台風が進むスピードの予想のブレ幅によっても予報円が大きくなっているとみられます。

しかも28日(水)夜、29日(木)夜の予想では、台風の速度は時速15キロとゆっくりとしたスピードが予想されています。30日(金)でも予報円の中心は東北地方にあり、本州付近での影響が長引くおそれがあります。

では、なぜ台風の進路予想はだんだんと西寄りに変わり、また本州付近でも“ノロノロ”とした速度が予想されているのでしょうか。

【画像で確認】台風10号の接近タイミング&影響長引くおそれ 31日までの大雨・暴風・高波シミュレーション

台風の進路を決める上空の風の流れ カギは高気圧や気圧の谷

台風の進路は周辺の上空の風の流れに大きく左右されます。
上空5500メートル付近の気圧配置を見ていくと、25日(日)までは上空の太平洋高気圧の勢力が日本列島付近まで張り出していて北上できずに西寄りへと進んでいます。

26日(月)になると高気圧の張り出しはやや弱まりますが、西日本付近まで張り出しているため、台風はその縁に沿って九州の南の海上へと進んでいく予想です。

その後、27日(火)になると高気圧の張り出しがさらに弱まるため、北東方向へと進んでいきます。

28日(水)以降に中四国や近畿地方への上陸が予想されています。秋台風であれば、このタイミングで上空の気圧の谷の通過などで偏西風が吹いて台風を加速させてスピードが速まることが多いですが、27日(火)以降の予想をみても、台風を加速させるような上空の風の流れは予想されていません。

逆に上空の風の流れがないため本州から日本海へ抜けても動きが遅く、週末にかけて影響が残る可能性もあります。このあたりの上空の風の流れの予想が定まっていないのも予報円が大きい理由のようです。

では、アメリカやヨーロッパなど海外予報機関はどのような進路予想となっているのでしょうか。各国の予想も参考に進路の定まり具合を見ていきましょう。

【画像で確認】台風10号の接近タイミング&影響長引くおそれ 31日までの大雨・暴風・高波シミュレーション

アメリカの予報機関 四国・中国・近畿を直撃する予想データが多く

アメリカ海軍進路予想(JTWC)

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

アメリカ海軍の進路予想では、傾向は気象庁と大きく変わりません。四国の南の海上までは北西方向へと進んできて、その後、北東よりに進路を変えて28日(水)午後に四国方面に上陸、その後、29日(木)午後には日本海へと抜ける予想です。最大風速をみると九州の南の海上に達したあたりで勢力が最も強くなっています。

ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)

【画像で確認】台風10号の接近タイミング&影響長引くおそれ 31日までの大雨・暴風・高波シミュレーション

アメリカ海洋大気庁(NOAA)

台風の進路予報は「アンサンブル予報」という手法で行います。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。

アメリカ海洋大気庁のアンサンブル予報の結果をみると、四国から中国地方を通る予想データが多くなっていますが、九州や近畿地方を通るデータも存在しています。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。