アンガールズ山根良顕さん
「あれから10年経って今はもうきれいになっているが、大変だったんですよね。土砂が流れてきて…。安佐南区出身なのでこの辺も地元とというか学生時代にはサッカーの練習試合で梅林や八木に来ましたけど…」

2014年8月20日未明、広島市安佐南区・安佐北区で線状降水帯による集中豪雨で土石流などが発生。災害関連死を含め77人が犠牲になり、住宅被害も4,749棟に及びました。

アンガールズ山根さん
「全部きれいにするのも時間がかかっただろうな。ここまできたんですもんねあそこの土砂が。不安だったでしょうね地域の方は…復興できるんかなって思うよな…」

山根さんがいるのは地域を一望できる自動車販売店です。ここで当時の写真を見ながら話を聞かせてもらいました。

マツダオートザム梅林 美野孝志常務執行役員
「これが立体駐車場の屋上から撮った写真」

アンガールズ山根さん
「ニュースでは見ていたけど…これ全部土砂?」

マツダオートザム梅林 新本哲也社長
「道路が見えない状態」

新本社長は店舗近くの自宅で被災。当時をこう振り返ります。

マツダオートザム梅林 新本哲也社長
「2回目、3回目の土砂流入は未明だったと思うが家中がグラグラ揺れて体感震度だと5~6あるくらい激しい揺れがあった」

立体駐車場の屋上は、自衛隊の拠点にも

自宅や店舗が大きな被害を受け再建に追われる中で、会社と従業員は災害協力を惜しみませんでした。

アンガールズ山根さん
「立体駐車場は高さもあるから自衛隊の人が基地として使った」

マツダオートザム梅林 新本哲也社長
「被害が一番ひどかった場所の真正面にあって高さもあるので、上から全貌が見えるということで指示しやすく動きやすいということで使っていただいた」
「やることがたくさんあった。しないといけないことに追われていたので辛いと考える余裕がなかったのは逆によかった」

アンガールズ山根さん
「いや~大変だったですね…」

マツダオートザム梅林 新本哲也社長
「10年経って節目だが当時の状況を知らない知らないスタッフも増えた」

新本社長は10年前の災害の教訓を従業員に伝えています。

マツダオートザム梅林 新本哲也社長
「ここで起きたことを生かせられるようになればいい。何かあったときに動ける体制を作る意識が大事だと改めて思う」

山すその住宅団地を訪問 10年間で世帯数は半分に

次に山根さんが向かったのは住宅団地…。

アンガールズ山根さん
「さあ、ここが新しくできた道路で、もともと家もあったんでしょうね」
「こんにちは。よろしくお願いします」

八木3丁目の阿武の里団地で暮らす土井智之さんです。

アンガールズ山根さん
「なかなかの坂道。電動自転車で上がれるかくらいの…」

土井智之さん
「長く住んでいると慣れてくるのでそこまで思わないけど、来られる方にはすごい坂だと言われる」

阿武の里団地はこの斜面を流れ下った土石流に飲み込まれ、4人が命を失いました。災害後には砂防ダムが建設されましたが、10年経った今も周辺の工事は続いています。

団地のふもとには避難道路が整備されました。それにより土井さんの自宅は立ち退きになりましたが、同じ団地内に新しく家を建て、父親と生活を再建しました。

アンガールズ山根さん
「この斜面を上がってくるのは大変だなと思ったけど、上がってくると山や川など広島の景色を見られていい場所」

土井智之さん
「景観はすごく良いところ」

アンガールズ山根さん
「住み始めたときに大きな災害があるなんて思わないもんね」

土井智之さん
「生まれ育った場所なので予想だにしないというのもあると思う」
「あれから10年でしょう。うちの父もことし亡くなってしまった。最期にふるさとでいられたのは本当によかったと思う。災害があった場所ではあるが…」

手を取り合って復興 つながりは今も

阿武の里団地は災害後の復旧・復興も住民同士が手を取り合って、乗り越えてきました。今でもそのつながりを大切にしています。

土井智之さん
「この阿武の里団地では4人が亡くなっているが、そのうち2人は立川さんの兄夫婦」

兄夫婦を亡くした立川新三さん
「毎日線香をあげて、畑も手入れしていたが私の心の中では七回忌で災害は済んだ。区切りをつけた」

一方で災害後に住み慣れた団地を離れた人も少なくありません。立ち退きや高齢化などを背景にこの10年で世帯数は半分程度まで減り、更地も目立ちます。

土井智之さん
「災害後に子ども会・老人会がなくなった。今は約40世帯になった。半分くらいになった」
「一旦冷静に考えてみれば、こういう場所で生活していくのはあくまで自己責任なところがあるので、こうした災害が起きたときの行動というのは心に留めておく必要がある。僕らもこういうところでまだ元気にがんばっているんだと皆さんに伝えられたらと思う」

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