台風10号は強い勢力に 発達しながら北西方向へ

台風10号は、小笠原の近海を時速20キロで北へと進んでいます。中心気圧は980hPa、中心付近の最大風速は35m/sで強い勢力となりました。台風10号のアジア名は「サンサン」で、これは香港が提案した名称で「少女の名前」を意味しています。

気象庁進路予想(JMA)

台風10号は、このあと進路を北西寄りに変えて日本列島に向かって北上していきます。27日(火)には「非常に強い」勢力になって四国の南の海上の予報円に達する予想です。
その後、向きを北東方向に大きく変えて28日(水)頃に本州付近に上陸する可能性が高くなっています。

海水温度が30℃前後と非常に高い海域を通る予想です。また、予想進路の上空では風の鉛直シアも比較的小さく、台風の発達を妨げるような状況ではないため、台風は日本に接近するまで発達する予想です。

台風の進路予想図で示されている白い円の大きさは「予報円」で、台風の中心が到達すると予想される範囲を示しています。 予報した時刻に、この円内に台風の中心が入る確率は70%です。 円が大きくなっているからといって台風が大きくなることを意味するものではなく、予報のバラツキを表しています。

日本列島のどこに上陸するかは予報円が大きいことからもわかるようにまだ定まっていない状況です。近畿や東海地方を中心に、東寄りであれば関東地方、西寄りであれば四国地方に上陸する可能性もあります。

【画像で詳しく見る】台風10号“強い勢力”で列島直撃か 29日(木)まで雨・風シミュレーション

一方、四国の南の海上で台風は大きく右へとカーブする予想となっています。なぜこのような予想が出ているのでしょうか。

進路は北西⇒北東へ 上空の太平洋高気圧の張り出し具合がカギ 

台風の進路は周辺の上空の風の流れに大きく左右されます。
上空5500メートル付近の気圧配置を見ていくと、現在、台風は小笠原近海を北へと進んでいますが、周辺では上空の太平洋高気圧が張り出しています。

ただ、上空の太平洋高気圧は週明けにかけて勢力がやや弱まる予想で、西日本付近に切れ間ができてくる見込みです。台風はその高気圧の西の縁の沿うように北西方向へと進むとみられます。

さらに27日以降は西日本へ張り出していた高気圧が東へとやや後退します。また西からは上空の気圧の谷がやや北に偏った形ですが近づくため、北東方向に向きを変える予想です。

一方で、高気圧の勢力や上空の気圧の谷が近づくタイミングなど不確定要素も多く、この予報のズレが結果的に台風の進路のブレ幅にもつながっています。この状況は週明けにかけて続く見込みです。

では、アメリカやヨーロッパなど海外予報機関はどのような進路を予想しているのでしょうか。参考に見ていきましょう。

アメリカの予報機関 日本列島を直撃予想 近畿・東海へ進むデータ多く

アメリカ海軍進路予想(JTWC)

アメリカ・ハワイにあるアメリカ軍の合同台風警報センター(JTWC)の情報です。ここでは監視すべき対象となりうる熱帯低気圧についての情報や台風となった場合の警戒情報などが表示されます。

アメリカ海軍の進路予想では、傾向は気象庁と大きく変わりません。日本列島に向かって北上したのち、28日(水)にかけて近畿から東海地方を中心に直撃するおそれを示しています。最大風速の予想をみると日本のすぐ南の海上で勢力が最も強くなっています。

ちなみにアメリカ海軍の最大風速はノット表示です(1ノット=約0.514m/s)。ただアメリカ海軍と気象庁では最大風速の定義が異なるため、気象庁の最大風速と単純に比べることはできません。(アメリカ海軍(1分平均風速)の方が、気象庁(10分平均風速)よりも大きな値となります)

【画像で詳しく見る】台風10号“強い勢力”で列島直撃か 29日(木)まで雨・風シミュレーション

アメリカ海洋大気庁(NOAA)

台風の進路予報は「アンサンブル予報」という手法で行います。数値予報の計算に使う最初の値をわずかに変えたものを複数計算して、その平均やばらつきの程度といった統計的な情報を用いて進路を確率的に予想するものです。

アメリカ海洋大気庁のアンサンブル予報の結果をみると、前日までと比べてやや西日本を通過する予想が増えました。予想が更新されるごとに進路予想も変わっていて予想が安定していないことをあらわしています。

ヨーロッパの予想モデル 西日本を直撃データ多く 一部は九州にも

ヨーロッパ中期予報センター(ECMWF)

ヨーロッパ中期予報センターのアンサンブル予報結果です。こちらも西日本よりを進むデータが前日より増えていて、いくつかは九州方面への接近を示すデータもあります。ただ、まだブレ幅はかなり大きい予想です。

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