陸上自衛隊木更津駐屯地(千葉県木更津市)に暫定配備されている垂直離着陸輸送機V22オスプレイの問題を話し合う「木更津駐屯地に関する協議会」(会長・渡辺芳邦市長)の漁業協同組合部会と区長部会が22日、市役所であった。市などは、暫定配備期限の来年7月を過ぎてもV22の定期整備は同駐屯地で続く見通しを説明。漁業関係者からは、オスプレイがいなくならない不安や、現状で騒音拡大を懸念する声などが相次いだ。(山本哲正)

オスプレイについて防衛省側と話し合った、木更津駐屯地に関する協議会の漁協部会=千葉県木更津市役所で

◆日ごろの整備は佐賀で

 部会は、昨年11月に鹿児島県屋久島沖で米空軍CV22オスプレイが墜落し搭乗員8人が死亡した事故後、初めての開催。  「オスプレイはいなくならないってことですね」。出席した漁協組合長の1人は、ため息交じりにこう話した。市が、佐賀空港の新駐屯地にV22を移駐後も、機体整備は木更津で続けられる見通しを伝えたからだ。

千葉県木更津市の上空を飛ぶオスプレイ

 防衛省は、佐賀駐屯地でオスプレイの受け入れに向けて進む工事について説明。同省北関東防衛局地方調整課基地対策室の阿部正和室長によると、昨年6月に着工した佐賀駐屯地の工事は、隊庁舎、格納庫、整備場などの整備や、駐機場の地盤改良を実施。オスプレイ移駐に必要な施設を来年6月末までに完成させ、その後、駐屯地を開いて移駐を進めるとする。  しかし、市などの説明では、米軍発注、スバル受注により木更津で実施している海兵隊MV22オスプレイの整備の契約期間は2030年末まで。陸自V22も、日ごろの整備は佐賀で行うが、大きな定期機体整備などは木更津で続ける方針だ。

◆「飛行場の周りを飛ぶ訓練は一切ない」と陸自は言うが

 整備機体の飛行を心配する声が上がると、陸自第1ヘリコプター団の姫野貴信第3科長は「飛行場の周り(場周経路)を回るような訓練飛行は一切ない。整備後の確認飛行はあるが、東京湾、相模湾の洋上で行う」と説明した。  今年6月に全17機が配備され、騒音が増えるか心配する質問には、防衛省側は「同一時間帯に場周経路を飛行できる機数は決まっており、配備機数増による場周経路の訓練量に大きな変化はない」と回答した。  市が江川総合運動場(同市江川)で実施中の騒音測定を巡り、影響の大きい潮干狩り場のある海岸近くでも測るよう要望も出た。 

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