日本原子力発電(原電)は23日、東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働の前提となる事故対策工事の完了時期が、これまで目標としていた9月から、2026年12月に遅れると発表した。昨年10月に発覚した防潮堤の施工不良の対策に時間を要するためで、原電が目指す早期再稼働は厳しい状況となった。

◆コンクリート充塡不足で基礎にスキマ、鉄筋が変形

 原電は23日、工期延長に伴う工事計画の変更を原子力規制委員会に提出した。当初は21年3月末の完了予定だったが、工事計画の変更でこれまでに2度延長されており、施工不良が原因の延長は今回が初めて。  原電の坂佐井豊・常務取締役東海事業本部長が茨城県庁で記者会見し、新たな工事計画について「さらに安全性が上がると考えている」と説明。再稼働は「時期は未定」としながらも、改めて意欲を示した。  昨年10月に原電が公表した防潮堤の施工不良は、取水口の鋼製防護壁を支える南北2カ所の柱状の基礎部分で、コンクリートの充塡(じゅうてん)不足による隙間や鉄筋の変形が生じた。原電は隙間を補修し鉄筋を追加する対策案を示したが、規制委は6月の審査会合で、防潮堤の一部造り直しを前提に対策の再検討を求めた。

◆薬液注入やセメントで周辺の地盤改良を計画

防潮堤の施工不良などで事故対策工事の工期が延長された東海第2原発=茨城県東海村で、本社ヘリ「あさづる」から(七森祐也撮影)

 新たな工事計画では、本来防護壁を支える役割だったものの耐久性に不安が残る地中連続壁は、そのまま残して土留め壁として流用。薬液注入やセメントによる周辺地盤の改良、基礎の追加等により安全性を高めるとしている。今後、規制委で内容が審査される。  茨城県の大井川和彦知事は「県や関係市町村、県民に適切に情報提供し、信頼を得られるよう努めてほしい」、東海村の山田修村長は「国の審査に真摯(しんし)に対応してほしい」と、それぞれコメントを出した。 (竹島勇) 

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