SDGsについて考えるシリーズ「つなごう沖縄」。
外出する機会が少なくなりがちな重い病気や障がいがある子どもたちに、外出を楽しんでもらおうとあるイベントが企画されました。会場は子どもたちの柔らかな表情と家族の笑顔が溢れました。

「ライフアート祭、沖縄こども未来プロジェクト」チャリティーイベント。病気や障がいがある子どもたちに積極的に外に出て楽しんでほしいという思いから開催されました。

運営するのは、宜野湾市にある訪問看護ステーション代表の田中雄一郎さん。多くの高齢者と接する中で自分の理想とする看護のかたちが見えてきたといいます。

田中雄一郎さん
「最期は自分らしく、自然体で最期を迎えたいという方が『家に戻って家族に囲まれながら』という事を僕たちがサポートして、最期をお看取りするというのが僕の中で当てはまったというか、僕の中の気持ちと合致した」

田中さんは、子どもから高齢者まで幅広い世代の患者をケアしています。その中には、重い病気を抱え気軽に外出することができない子どもたちも多くいます。

田中雄一郎さん
「やはり状態によって変わると思うんです。脳性麻痺の子だったり気管切開だったり、基本的に自分で外に行こうと思っても体が不自由で行けないなどがある。外に連れて行くのはご家族で、ご家族が外に出てまわりの目を気にしたりとか、そういう悲しくなるような環境もあるので」

そんな子どもたちに、外に出て対面でふれあう楽しさを感じてほしいと企画したのが今回のイベント。その特徴は?

田中雄一郎さん
「出店者の8割が医療福祉従事者というところで、安心安全というか、周りを見渡せば資格を持っている方たちがいる。面白いというか、ちょっと変わったお祭り。僕の思いつきで始めて仲間を集めていったんですけど、ありがたいことに出店者さんたちもたくさん集まってくれた」

西原町の西原さわふじマルシェで開催されたイベントには、飲食や雑貨の販売、ワークショップの出店などおよそ20店舗が集まりました。

コーヒーショップを出店した元理学療法士の男性は…

「子どものことを一番考えて、もう障がいがある子でも外に出て遊びたいという思いをきっかけに始まった活動なので、そこに惹かれて協力させてくださいと今回一緒に出店させていただけることになりました」

会場には看護師が常駐する救護室も設けられました。

ライフアート訪問看護ステーション・砂川侑依さん
「夏場で熱中症もあり、遊んで転んだりけがをしたりとか、そういう子たちの1次救急として私達ライフアート訪問看護師の職員で対応するので、1次対応をする場所を確保しています」

ステージには、やんばるで自給自足の生活をする「沖縄のターザン」ことKidzy(キジー)さんも登場してクイズ大会が開かれました。

Kidzyさん
「僕も子どもが好きというのと、自然が好きというのがあるんですけど、なにか子どもたちが楽しんでもらえるような、全体的には子どもたちにちょっと元気を与えたり、やんばるのことを知ってもらい興味をもってもらうことができるイベントがいいかなと思って参加しました」

今回のステージのメインイベントは、病気の子どもと家族がランウェイを歩くウォーキングショー。サポートしたのは、メンズナースオキナワ。「看護師×筋トレ」という共通点を持つメンバーで構成されたボランティア団体です。

参加した家族
「ここまでお客様がいることを想定してなかったのでちょっとかなり緊張しました。たくさんの人にこの子を見てもらえるっていうことがすごい感動しました」

参加した家族
「私達は日々いろいろあって、夜も眠れない日とかあったりするんですけど、それでも前を向いて頑張っているので、これからもみんなでいろいろ情報共有とかしていきながら住みやすい社会になっていけたらいいなと思っています」

障がいの有無に関わらず、すべての人たちに自己実現の場を作り出すこの取り組みはSDGsの目標につながっています。

田中雄一郎さん
「もっとこういう場が広がって、障がい児のママさんとか勇気ある方たちがもっと前に来て、そういう何か社会にもっと出やすいような環境をつくっていきたい。みんな縁がつながって気持ちが何か連鎖しているような感じが僕の思い描いていたイベントになったなと。今後も続けたいなっていうのを思いました」

障がいのある人も健常者も誰もが主役となる居場所づくり。田中さんの挑戦は始まったばかりです。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。