8月16日に非常に強い台風7号が関東に接近し、お盆期間の交通網に影響を及ぼしてからまだ1週間ほどですが、次は台風10号が日本列島に接近・上陸する可能性が出てきました。

現在マリアナ諸島に位置する台風10号は、北西に進路を取り、27日火曜日ごろに本州に接近・上陸する可能性があります。まだ予報円が大きく、どのエリアに影響が大きく出るのかわからない状態ですが、現在の経路図でもわかること、想定できることはあります。どのような情報を読み取り、そこから何がわかるのか見ていきます。

まずは経路図の見方をおさらいします。北側に連なっている黒い線で描かれた円が「予報円」です。この予報円は台風の中心が到達すると予想される範囲を表しています。この円の中に中心が入る確率は70パーセントで、約3回に1回はこの円の外に中心が到達するということになります。予報円を取り囲む赤い領域は「暴風警戒域」で、風速25メートル以上の風が吹く可能性のある範囲を示しています。暴風域が台風の中心を取り囲むように形成されるので、予報円の外側を囲うように暴風警戒域が描かれます。

続いて台風の性質を簡単におさらいします。台風は円形ですが、中心より右側は左側と比べて風が強く吹きます。台風は反時計回りの回転で、右側は南寄りの風向きとなります。そこに台風が北上する動きが加わって風速が大きくなります。一方、左側は北寄りの風となり、台風が進む向きと逆になるため、相対的に風が弱くなります。(左側なら暴風が吹かず安全というわけではありません)また、右側は南寄りの風に乗って海から暖かく湿った空気が流れ込むため、大雨となる可能性も高まります。

経路図の読み方と台風の性質、この2つを利用して現段階の経路図から想定できるシナリオを考えてみます。

①台風が予報円の西側を通る場合
台風が予報円の西側を通ると仮定すると、台風の右側に入るエリアは九州の太平洋側や四国地方となり、これらのエリアで大雨や暴風となる可能性が高くなります。また、予報円の西側は海水温が高い海域が広がっており、この海上を台風が進むと予想よりも発達する可能性があります。

②台風が予報円の中心をとおる場合
台風が予報円の中心をとおると仮定すると、台風の右側に入るエリアは、紀伊半島や東海地方となります。伊勢湾のような南に開けた湾では暴風が吹き込み、沿岸部で高潮の影響が出るおそれがあります。

③台風が予報円の東側を通る場合
台風が予報円の東側を通ると仮定すると、台風の右側に入るエリアは関東地方や東北の太平洋側となります。普段雨が多く降るような場所ではない東北でも大雨となるおそれがあります。

現段階ではこの3つのシナリオが考えられます。今後台風が近づくにつれて予報円も小さくなり、さらにシナリオが絞られてくるでしょう。台風がどう進めば自分の住んでいる所が危険になるのか、経路図を見ながら先読みし、一歩先を進む防災行動に活かしてほしいです。(気象予報士・東杜和)

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