日ごろ穏やかな河川があっという間に激流に…。中州に取り残された釣り人が救助要請。3時間半に及んだ救出劇は、通常夜間に飛ばさない『県警ヘリ』が出動し、男性一人を無事救助しました。専門家は夏場の天気の急変に注意を呼びかけます。

消防に通報があったのは14日の午後6時20分ごろ。立山のふもとにある富山市小見の常願寺川で釣りをしていた40代の男性から「水が急に増えて中洲に取り残された」と消防に通報がありました。

警察と消防隊員が30人ほど集まり、中州に取り残された男性の救助活動にあたっていましたが、警察は陸からの救助は難しいと判断。県警は、通常夜間に飛ばすことの少ない「つるぎ」での救助に踏み切りました。通報からおよそ3時間半後…。

記者:「男性の姿が見えました。男性が救助されました」

男性は救急隊員に抱えられながらヘリに引き揚げられました。男性にけがはなく、命に別状はありませんでした。

あっという間に激流に…1時間で36cm上昇

3時間半にわたった救出劇から一夜明けたきょう15日、現場に行ってみると…。

記者:「あちらが昨夜中州に取り残された男性が救助された現場です。一夜明けた常願寺川は緩やかな流れに戻っています」

消防などによりますと、地上からゴムボードや浮き輪での救出を試みますが、救助を阻んだのは、急激な川の『増水』だったといいます。

「水が急に増え、中州に取り残された」と助けを求めたのは14日の午後6時20分ごろ。当時の川の水位はどうだったのでしょうか。

現場近くの小見観測所の水位のグラフをみると、午後6時から7時にかけて水位が36センチ上昇していました。

富山県立大学 呉修一教授:「富山県では一気に山で降った雨が常願寺川の下流に一気に流れてきて、そこで急激に水位が上がることがよくあります。とてつもなく流れが速かったと思いますので、危険な状況だったと思います」

なぜ1時間で36センチも上昇?

防災水工学が専門で富山県立大学の呉修一教授。水位の急激な上昇は、川の上流で局所的に1時間に最大38ミリの雨が降ったことが要因だと指摘。さらに、海と3000m級の山々との距離が近い富山県特有な地形も影響しているといいます。

呉教 授は下流で雨が降っていなくても、上流で局地的な強い雨が降れば一気に水かさが増えることがあると注意を促します。

富山県立大学呉修一教授「中州で釣りやバーベキューをするのに最も最高だった場所だったのが、一気に雨が降るとそこから川に戻る所も多い。夏の天気の急変にはぜひ注意してほしい」

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