長年、山陰の大動脈として活躍した特急やくもの車両が交代したというニュースは、多くの鉄道ファンだけでなく普段、鉄道に興味がない人からも大きな注目を集めました。
そんな山陰の鉄道の魅力的な一瞬や光景を写真集にして全国に知ってもらいたいと取り組む人々を取材しました。

7月。出雲市内に、カメラを構えた2人の男性の姿がありました。

Q.何をしてらっしゃるんですか?
「今、ちょっと鉄道の写真を撮ってまして。そうですね、やくもとか、あめつちとか。」

2人は、山陰を中心に活動しているアマチュア鉄道写真家で、出雲市の原知之さんと雲南市の永瀬尚樹さんです。

原知之さん
「マニュアル(手動)レンズを使っています。最近ちょっとはまってて。写りがやっぱちょっとこう何だろう、エモくなるというか。」

あえて半世紀位前のレンズで撮るといいます。
一方、永瀬さんが構えるのは、鉄道写真家らに定評があるプロのサブカメラ的な機種です。

永瀬尚樹さん
「不満に感じたことは全くないですね。なので、いつでもどこでも助けられてます。この機種には。」

2人がこの日、まず狙ったのは赤銅色が特徴の新型やくもです。

永瀬尚樹さん
Q.斜めにしてられますね?
「そうですね、ちょっとたまには変わった感じでと思いまして。」

今度は青い車体。
観光列車のあめつちです。

ところが、この頃から雲が広がり始め、ほぼ一面、単調な白い空になってしまいました。

永瀬尚樹さん
「曇っちゃったんで、丁度今、草取り作業しとられる方がおられましたんで、ちょっと列車と一緒に撮らせて頂いた所で。心安い人ばかりで、本当にそういった題材で撮らせて頂いても嫌な顔されないんで、本当に有難いと思ってます。」

顔なじみの農家の人を画面に取り入れることで、空模様の変化に対応した2人。
山陰の景色や人々の生活に密着して長年撮り溜めた作品を、近く披露することになったといいます。

原知之さん
「今回、今井印刷さんの方に声をかけて頂いて、写真集に使って頂くっていうことで。また皆さんに写真を見て頂いて、それでまた山陰の鉄道とか山陰の場所っていう所に魅力を感じてもらえたら良いなと。」

2人に写真提供を依頼したのは米子市にある今井印刷。
2016年から続く山陰鉄道シリーズの10作目となる山陰線写真集の島根県版で、今、編集作業が佳境を迎えています。

今井印刷 佐古悠太さん
「ちょっとページ構成にアクセントをつけて。こっちの車両のやつを入れると、単調にならずに済むかな。」

この日は、アートディレクターの佐古悠太さんが、引き伸ばした写真を並べて構成を検討していました。

今度の写真集には、原さんと永瀬さんを含む島根県と広島県のアマチュア写真家4人がおよそ1000作品を提供。
フィルムで撮った昔のものもあり、そこから100点程が厳選されて、安来市から益田市まで山陰線を順番にたどる形になる予定です。

今井印刷 佐古悠太さん
「結構アンダー(暗い)な印象ですので、ここは少し色味を。少し明るくして。で、紅葉の部分を少し引き出してあげるために少し赤みを強めて。」

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