台風7号は、関東地方に接近しながら勢力を強める異例の経過をたどった。南海上の海面水温が平年より2度ほど高く、台風への水蒸気の供給が途切れなかったのが原因とみられる。海面水温の高さは、今夏の日照の多さや海流の変動など、複数の要因で生じた可能性がある。(宇佐見昭彦)

台風7号に伴う雨が降る中、傘を差して街を歩く人ら=16日、東京都渋谷区で(木戸佑撮影)

◆なぜ海水温が高まった?

 台風の発達には27度以上の海面水温が必要とされ、関東接近とともに勢力は徐々に弱まることが多い。だが、台風7号は15日未明に小笠原諸島・父島の北西で975ヘクトパスカルだった中心気圧が、八丈島の東へ進んだ同日夜には950ヘクトパスカルまで下がり、非常に強い勢力となったまま房総半島に最接近した。気象庁は、16日夜にはさらに940ヘクトパスカルまで強まり、関東に接近した台風としては最強級の勢力になると予想した。  本州の南には現在、海面水温30度以上の海域が広がり、台風の発達には好条件となっている。気象庁は「太平洋高気圧に覆われて晴れが続いたため、日射で海が暖められ続けた」と説明。他の台風が先行して付近を通れば海水がかき混ぜられて水温は下がるが、それもなかったという。  天気キャスターで気象予報士の森朗さんは、日本の南の高い水温について「背景には温暖化もあるが、7年ほど続く黒潮の大蛇行の影響もあるのではないか」と指摘。「紀伊半島沖で南下した黒潮が関東の南方で北上し、南から暖かい海水が流れ込んでいる。関東のすぐ南の海が、まるで熱帯の海のようだ」と話した。 

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