南海トラフ地震の臨時情報(巨大地震注意)を受け、首都圏では一部の海水浴場が遊泳禁止となったり、自治体が防災体制を強化したりする対応が取られた。15日夕以降に地震への備えは平常に戻るが、自治体は情報収集などを続ける。

◆老舗旅館「台風でのキャンセルのほうが多い」

海岸の入り口に掲げられた「禁止」と書かれた旗=神奈川県平塚市で

 神奈川県内で唯一、遊泳禁止とした平塚市の湘南ベルマーレひらつかビーチパーク海水浴場。15日も海岸の入り口でライフセーバーが待機し、来場者に泳がないよう声をかけ、放送で周知していた。16日以降の対応は台風7号の影響を見て判断する。  砂浜にはビーチバレーを楽しむ人の姿も。サーフボードを抱えた市内の男子大学生(21)は「南海トラフのことは頭の片隅にはあったけれど、結構ここに来ていた」と振り返った。  神奈川県鎌倉市の海の家でつくる市海浜組合連合会の野田太一代表(52)は「影響は感じなかった。避難場所や経路を確認する機会にはなった」。市観光課によると、観光客数に大きな変化はなかったという。同市由比ガ浜の老舗旅館「かいひん荘鎌倉」の井上靖章(やすのり)代表(59)は、9日夜の地震後に数件キャンセルがあったが「台風でのキャンセルのほうが多い」と明かした。

海岸でビーチバレーや日光浴を楽しむ人たち=神奈川県平塚市で

◆東京都は「災害対策本部会議」を廃止

 神奈川県は防災体制を通常に戻し、15日以降も県民に日ごろからの地震への備えを引き続き促すという。東京都は8日夜に設置した災害対策本部会議を15日に廃止し、今後は担当部局が情報収集を続ける。  千葉県はこの1週間で、発災時の初動体制や備蓄状況、市町村との連絡体制を再確認するなどしたという。房総半島南部の館山市は市民対象の安全安心メールで注意を促してきた。市の担当者は「初の臨時情報を受け、対応を再確認できたのはよかった」と述べた。 

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