帰省先などで地震が起きた場合、私達はどのように行動すればいいのでしょうか?
防災の専門家、防災システム研究所所長の山村武彦氏と考えます。

山村氏「悲観的に準備して楽観的に暮らす」

地震への備えについて、山村氏はこう話します。

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
気象庁や防災大臣がおっしゃるように、一定の準備は日本列島のどこでもやっておいた方がいいわけです。
例えば関東大震災からの100年間に、100人以上犠牲者を出す大地震が16回発生しています。つまり日本という国は5年から6年に一度は、大地震に見舞われている国なんですね。
ですから南海トラフだけが危険なのではなくて、全国できちんと準備する。
「悲観的に準備して楽観的に暮らす」というのが日本列島に住む作法ではないかと思うんですね。

恵俊彰:
準備は最悪なことを考えてして、でも楽しい毎日を過ごしてくださいねということですね。

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
レジャーも帰省もお墓参りも私は予定通りやっていいのではないかなと思う。その代わり一定の準備はしてくださいね、ということですね。

番組では地震への備えについて、LINEアンケート(総回答数4050人)を行いました。

Q.南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が発表されたことで、改めて調べたことや準備したことはありますか?

ある・・・27%
ない・・・73%

奈良在住・70代
「食料・飲料水の賞味期限や家族で避難場所の確認をした」
東京在住・60代
「地震のときに持ち出す荷物を再点検した」
東京在住・40代
「新幹線に乗るときは水と食料を気にしていたが、最近は停電が多いので携帯用トイレを荷物に入れた」

旅先での備え【海のレジャー】

旅先での地震にはどう備えたらいいのでしょうか?

山村氏によると、海のレジャーで危険なのは河口付近。
河口付近は津波が押し寄せる確率が高くなっています。
海抜表示を事前に確認しておき、垂直避難の目安にすると良いということです。

また私達が事前に準備できることとして
▼携帯電話を防水ポーチに入れて持ち歩く
▼津波避難場所や津波避難ビルを確認した上で出かける
▼海水浴場の津波情報を知らせる方法が、「旗」か「音」か確認

などを挙げています。

津波情報を知らせる「津波フラッグ」というものがあります。
長方形を4分割した赤と白の格子模様のデザインで、津波警報などが発表されたときにライフセーバーなどがこの旗を振って知らせます。
聴覚に障害のある人や、波や風で音が聞き取りにくい遊泳中の人にも視覚的に情報が伝達できるよう、2020年から運用が開始されています。
津波から命を守る合図となるので、津波フラッグを見たら周囲の人に声をかけながら高い場所に避難してください。

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
地域海水浴場ごとに津波避難タワーなどができています。高台がなくても「命山」が作ってあったりします。全国で津波避難ビルが今1万6000か所あって、津波避難タワーも550か所あるんです。
行ったときに一度避難場所まで歩いてみるとか、確認しておくともっと安心して遊べるのではないかと思います。

旅先での備え【山のレジャー】

8月9日、富士登山について公式ホームページで
「落石等の可能性が考えられますので、ヘルメットの着用や、自身を守るための行動を」と呼びかけがありました。

山のレジャーに関しても事前の準備が必要です。
▼下山できなくなったときの備えとして登山届は必ず提出
▼スマートフォンの代わりとなる通信手段を確保
▼荷物に余裕があればロープを携帯する

土石流など土砂災害は、谷筋に沿って起きます。山村氏によると、沢や谷から水平避難も有効な場合があるということです。
山の中では「斜面」「沢や谷」が比較的危険とされており、
一方で安全とされているのは「山の尾根」や「平らな場所」です。
登山ルートにある比較的安全な場所を確認しておきましょう。

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
先々のリスクと、安全が確保をできる場所を確認しておくことが大事だと思います。
山の場合にも、地震で土砂災害がおこり土石流に巻き込まれたり、落石や地滑りなどもあるんですね。
ですから緊急地震速報がなった時とか、小さな揺れを感じたら、ともかく安全な場所に移動することも心がけるといいと思います。

コメンテーター REINA:
せっかく旅行に行くので楽しみたいって思うのはすごく普通の気持ちだと思うんですよね。でも「多分大丈夫だろう」「まさかこのタイミングで何か起こるわけない」などの根拠のない正常性バイアスはこういうときに非常に働きやすいと思うので、事前にどれだけ準備するかが早め早めの判断や行動につながるんだなというのはすごく勉強になりました。

車や電車…移動中の備え 

≪車の場合≫
▼携帯トイレ・毛布・非常用リュックなど、車中泊もしくは徒歩で避難所に行ける準備をしておく。
▼車を置いて避難するときはドアはロックせずカギは車に置いていく。車検証は持ち出し、連絡先のメモを残す。
▼高速道路で地震にあったときは、非常口から一般道に降りる。近くにPAやSAがある場合は車を止める。

≪電車の場合≫
▼駅員・乗務員の指示に従う
▼地震発生時にしゃがむことでけがをする確率が減少する

帰省先での備えも万全に

自宅での備えと同様に、帰省先での対策もしておきましょう。
▼家具を固定する
▼高い場所にある重たい荷物をおろす
▼玄関など出入口を片づける
▼生活用水を貯めておく
▼1階は倒壊の可能性が高いので、寝る時は2階で

防災のプロのポーチの中身は

山村氏が普段持ち運ぶ「ポーチ」の中身を見せてもらいました。

◆現金
・新札と旧札両方持つ
・小銭のみでも2000円ほど用意
(災害時にはキャッシュレスのカードはほとんど使えない)
◆携帯の懐中電灯(首掛けタイプ)
◆モバイル充電器
◆携帯ラジオ
◆飴、チョコレート
◆携帯用トイレ
◆熱中症対策用の冷却シート
◆お薬手帳
◆命の笛(SOSのサインを出すときのホイッスル)
◆絆創膏

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
通常の充電器などと合わせて、水も常にバッグの中に入っています。
食べ物を食べなくても5日や6日は生きてられるんですが、脱水症状になると一気に体力が衰えちゃいますから水だけはいつも持っています。

弁護士 八代英輝:
新幹線が止まったりして水分がとれなくて困ったという方も結構いらっしゃいますもんね。

必須の4項目

◆ハザードマップを確認する
◆避難場所・経路を確認
◆防災リュックの中身を確認
◆家族間の連絡が取れなくなった際の対応を確認

山村氏は出かける・出かけないにかかわらず上記の確認をすすめています。

防災システム研究所所長 山村武彦氏:
安全安心というのは準備に比例するんですね。楽しく生きていくためにも一定の準備をしっかりやっておく。
朝から晩まで“防災”をやってられませんから、家具の固定も含めてやれるときにしっかりやることが大事ですね。

(ひるおび 2024年8月13日放送より)
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<プロフィール>
山村武彦氏
防災システム研究所 所長
約50年にわたる災害現地調査に基づく防災対策を提案

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