8月7日から始まる全国高校野球選手権。甲子園球場では今年も熱戦が繰り広げられるのでしょうが、今から45年前の夏の大会で「史上最高の名勝負」と謳われた試合があります。

1979年、第61回大会の箕島対星稜の一戦です。

延長18回を戦った死闘は長い年月を経ても語り継がれていますが、当時を戦った人たちは折に触れて心を通わせてきました。

【写真】死闘を演じた箕島と星稜 OB戦での「尾藤スマイル」

1979年8月16日、石川代表の星稜は、春夏連覇を狙う和歌山代表・箕島と3回戦で対戦しました。

1対1の同点で延長戦に突入してからは、星稜が勝ち越し箕島が追いつくという展開が繰り返されます。そして、延長18回、3時間50分の死闘の末、箕島がサヨナラ勝ちをおさめました。

星稜・山下智茂監督(当時)「やっぱり最後、スクイズのサインの見落としとか送りバントのサインの見落としとかありましたけどね。しかし、選手は思い切りやったらからね、悔いはないんじゃないんですかね」

星稜・山下智茂監督(当時)

星稜・山下靖主将(当時)「箕島とこんないい試合ができて本当にうれしいです。悔いはないです」

星稜・山下靖主将(当時)

星稜と箕島の両校 その後のOB戦での「ファーストフライ」

高校野球の歴史に残る一戦を戦った両チームの関係者は、その後交流を続けてきました。

1994年には和歌山県で両校のOB戦が行われました。その時、最終回の打席に立ったのは箕島の監督・尾藤公さん。

1994年の和歌山でのOB戦 最後の打席に立ったのは尾藤公さん

尾藤さんが打ち上げた球をつかんだのは、星稜のファースト・加藤直樹さんでした。

OB戦でのファーストフライ。加藤さんにとっては15年ごしでのちょっとした「リベンジ」でした。

平凡なファーストへのフライが「まさか」 語り継がれるワンプレー

1979年の試合、大きなターニングポイントとなる場面がありました。16回の攻防です。

2対2の同点でしたが、星稜は山下主将のタイムリーで1点を勝ち越します。3対2でリードした星稜、16回ウラ、2アウトランナーなしであと1人となります。

箕島の森川選手が打ったファウルフライでしたが、ファーストの加藤選手は転倒し、何でもない打球を取り損ねます。

このシーンが転機になったのか、森川選手は同点ホームランを放ち、箕島はその後延長18回でのサヨナラ勝ちを果たします。

15年後のファーストフライ 尾藤監督は「加藤くんで終わってくれてよかった」

15年後に和歌山でファーストフライを打った箕島・尾藤監督とその打球をつかんだ星稜・加藤選手。

加藤さんはこの時のことをのちにこう振り返りました。

星稜(当時のファースト)・加藤直樹さん「『加藤元気でよかった、元気でよかった』そればっかりで。尾藤さんが「加藤くんのところで終わってよかった。ファーストフライで取ってよかった」と言ってましたけど。僕星稜なのになんでこんなに歓迎してくれたというか喜んでくれたのかという記憶があります」

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。