夏休みに入り、毎日のように水の事故が発生するなか、溺れた人を助けに行った人が命を落としてしまうケースが相次いでいます。
専門家は、溺れている人を見つけた際、「助ける」という考えを捨て、「一緒に浮いて救助を待つ」ことが重要だと指摘します。

8月11日、島根県吉賀町の高津川に家族で泳ぎに来ていた家族のうち、小学生の娘がおぼれ、父親と母親が救助して娘は無事でしたが、直後に母親の姿が見えなくなり、川底に沈んでいるのが発見され死亡が確認されました。

このように、海や川で溺れている人を発見し、助けにいった人が亡くなってしまう痛ましい事故が毎年発生しています。

なぜこうした事故が起きてしまうのでしょうか。

水難学会 斎藤理事


水難学会 斎藤秀俊 理事
「考えられる理由としては、例えば、お母さんお父さんが、流されてしまったお子さんのもとまでいき、何とか抱えて岸までたどり着いた。

岸の上で待っている人に、お子さんを手渡すときに両腕を上げないといけない。そうすると、自分の体は水の中に沈んでしまいます。

子どもが助け上げるまで何とか水中で息止めてるんですけど、それが終わって、さぁいよいよ自分が上がる番だというときにはもう力尽きてしまって溺れてしまう事故などがよくあります」

子どもを上陸させてから力尽きてしまった、子どもを追いかけたが途中で力尽きてしまったなど、原因は様々ですが、重要なのは「救助する」「助ける」という考え方を捨てることだといいます。

水難学会 斎藤秀俊 理事
「基本的に溺れている人を助けに行かないというところなんですが、とは言っても、自分の大切な子どもが目の前で溺れて、それを助けに行かないで見ている親はほぼいない。心情的には皆さん助けにいきたいと思ってしまう。

どうしても我が子のそばに行きたくて行った、そのときに、親子で一緒に浮いて救助を待っていて欲しいと思います。ここで「救助しよう」と思うと、危険が倍増、三倍増になってきます」

「親子で浮いて救助を待つ」という考え方は、海でも川でも同じ。
その際、子どもを浮かせようと接触するのは良くないといいます。

水難学会 斎藤秀俊 理事
「子どもの体を支えるというのは救助になってしまうんですね。救助は、相当訓練された方でないとなかなか難しくて、子どもと一緒になって沈んでしまいますから、子どもに特に接触することもなく、一緒に浮いて救助を待つということになります」

大切なのは、子ども一人で浮いておけるようにしておくことです。

また、溺れた人のもとに向かう人は、自分の浮力も確保しないといけないため、ライフジャケットなどを活用すること。自分たちで解決しようと思わず、119番通報するなど、早く救助を呼ぶことも重要だといいます。

せっかくの夏休み、親子で、海や川で遊んで夏の思い出を作りたいところ。

万が一に備えて、水のレジャーでは親子みんなでライフジャケットを着用する、水深の深いところまで無理していかないなど、十分に安全に配慮しながら楽しんでほしいと注意を呼び掛けています。

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