静岡市を拠点とするプロ野球「くふうハヤテベンチャーズ静岡」は開幕戦から、8月15日で5か月を迎えます。新球団として「集客力」が課題となる中、行政との連携で、地域振興と認知度向上を狙います。

「球団名は『くふうハヤテベンチャーズ静岡』に決まりました」

2024年、静岡に初めてのプロ野球チームが誕生しました。NPBの球団数が増えるのは、実に66年ぶり。本拠地となったのは、静岡市が所有する清水庵原球場です。

<静岡市プロ野球球団創設推進室 山野井伸吾室長>
「内野スタンドの防球フェンスをかさ上げしました。2メートルだったものを3.5メートルまで上げました」

静岡市では3000万円の予算を計上しプロ野球の試合ができる設備に改修しました。

<静岡市プロ野球球団創設推進室 山野井伸吾室長>
「経年劣化でラバーフェンスがはがれてしまったり穴が開いてしまったりというところがありましたので、補修をさせていただきました」

グラウンド設備の懸念は解消されたものの、いま課題となっているのが、「集客力」です。球場内の駐車場は600台しかないため、くふうハヤテでは周辺企業の協力を得て臨時駐車場を確保しましたがこれまで使われたことはありません。

平均観客数はおよそ900人とファームリーグでは悪くない数字ですが、静岡市が来場者に行ったアンケート調査では、「くふうハヤテの応援に来た」と回答した人が半数に満たない結果となりました。

<ハヤテ223 田村英之さん>
「土日を中心に市内の中学校野球部にはグラウンド整備、ボールボーイ、練習補助の形で選手を身近に感じてもらう」

静岡市職員の田村さんは、4月から球団スタッフとして働いています。

<桐陽高校チアリーダー部>
「気を付け!お願いします」

田村さんは、集客力アップのため、地域振興に力を入れています。この日は桐陽高校のチアリーダー部にグラウンドでのパフォーマンスを依頼しました。

<桐陽高校チアリーダー部 後藤楓果さん>
「ちょっと緊張していたんですけど、みんなで声を掛け合って最後まで自分たちの気持ちを高め合えたので良かったと思います」

<桐陽高校チアリーダー部 岩田華歩さん>
「自分たちが野球応援でスタンドから見ていた下の芝生で踊ることができてすごく貴重な体験ができたと思うので楽しかったです」

まずは、地元ファン定着を目指し、あの手この手を尽くします。

<植田麻瑚記者>
「愛鷹球場で行われる中日戦3日間は県民特別観戦デーと称し、県民を無料招待しています。きょうは平日の昼間ですが、子どもから大人まで幅広い層のファンが駆け付けています」

静岡県民無料招待は、当初5000人を対象としていましたが、申込開始からわずか3日でいっぱいとなり、急きょ8500人まで増やしました。

<県民無料招待枠で観戦>
「神宮によく行くんですけど、2軍の試合も近い距離で選手を見られていいなと思いました」

<くふうハヤテ 池田省吾球団社長>
「まずは球場に来て選手のプレーを観ていただかないと、来てくださいだけだとなかなか理解していただけないので。限られた予算の中で厳しい状況ですけど、やれることはたくさんあると思うんです」

さらに静岡市が主催するイベントでは、選手自らチラシを配るなど認知度向上を図ります。

チームにはかつて県内の高校野球を沸かせた選手もいます。

<2人のやり取り>
「至学館。これいつ?東海大会決勝」

池谷投手と竹内投手はかつて、静岡高校のダブルエースとして活躍した同級生です。春のセンバツでは、優勝した大阪桐蔭と熱戦を繰り広げました。

7年後、再びチームメイトになった2人は、地元への恩返しが大きな役割だと話します。

<静岡高・群馬大出身 竹内奎人投手>
「今まで野球に興味がなかった人も野球を好きになってくれたらうれしいと思いますし、僕は静岡という地がすごく大好きなので。盛り上げることに関われていることはすごくうれしく思っています」

<静岡高出身・元DeNA池谷蒼大投手>
「まず12球団を目指すことが目標なんですけど、それとともに静岡の野球を盛り上げたいと思ってここに入団してきたので。野球の面白いところを見てもらえる機会だなと思っている」

勝ち負けを越えた存在意義が、県民球団1年目のテーマです。

初年度は、地域への浸透を図ることが重要ですが、子どもたちの応援は力強いです。その子どもたちにとって憧れの舞台が用意されました。
プロへの登竜門とも呼ばれる「NPB12球団ジュニアトーナメント」に、くふうハヤテが招待チームとして参加することが決まりました。今週末に1次選考が行われ、9月14日の最終選考で、16人が選出されます。
プロ野球選手への夢が身近に感じられる大会で、野球振興への貢献が期待されます。

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