12日、岩手県に台風5号が上陸したことで、東北地方太平洋側に上陸した台風は2016年以降3つ目となりました。専門家は、近年発生している「新しい高気圧」の影響で、台風が東北地方太平洋側に上陸しやすくなっている可能性があると指摘します。

三重大学大学院 立花義裕教授:
「近年変わった動きをする台風が増えていますが、これはやはり昔と違うような大気の循環のパターンになってきたんだと思います」

三重大学で気象学を研究する立花義裕教授と、大学院生で宮城県丸森町出身の天野未空さんらの研究グループは、2010年以降、南北傾斜高気圧と呼ばれる「新しい高気圧」が日本の東の海上で発生しやすくなっていることを発見し、去年、論文で発表しました。

天野未空さん:
「こういう位置に新しい高気圧がありそうだぞというのが私が見つけたことで、かつ新しい説として提唱していることです」

「新しい高気圧」が台風に及ぼす影響とは

高気圧の周囲では時計回りに風が吹き出すため、立花教授によると、南北傾斜高気圧の南側から北上してきた台風は北西方向に進むようになると言います。

三重大学大学院 立花義裕教授:
「この高気圧があるため、東北地方は風向が南東から北西方向に吹く回数が増えたということなので、そこに乗ってくるような台風が起こるようになった」

1951年の統計開始以降、東北地方太平洋側に上陸した台風は、2016年8月に岩手県に上陸した台風10号が初めてでしたが、その後、2021年7月に宮城県石巻市付近に上陸した台風8号、そして12日岩手県に上陸した台風5号と、ここ8年間で3つ目となりました。

立花教授は、いずれの台風も、接近時に南北傾斜高気圧が発生していたため、東北太平洋側に上陸したと分析しています。

三重大学大学院 立花義裕教授:
「南北傾斜高気圧の発生は、地球温暖化が一因だと考えられますので、昔に比べて今は発生が増えています。台風が、このようなコースを通ることも増えると思います」

立花教授は、今後、東北太平洋側から上陸する台風が増える可能性があるとみていて、宮城県などでは注意が必要だと指摘しています。

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