宮崎県日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生し、気象庁が初めて発表した南海トラフ地震臨時情報「巨大地震注意」。政府の防災対策指定地域でなくても、地質学の専門家は「決して油断できない」と警鐘を鳴らします。南海トラフ地震の震源域にあるプレートが動くこと​で日本海側の活断層が連動する “誘発地震” への警戒が必要だと訴えています

8日午後4時43分ごろ宮崎県の日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生しました。地震の規模を示すマグニチュードは、暫定値で7.1となっています。

この地震で気象庁が初めて発表したのが南海トラフ地震臨時情報です。この臨時情報は、南海トラフの想定震源域またはその周辺でマグニチュード6.8以上の地震が発生した際に発表され、今回の地震に連動して別の巨大地震が起きる可能性が平常時より高まっていると呼びかけるものです。

今回は評価は3段階中2番目の「巨大地震注意」。1週間以内にマグニチュード8クラスの巨大地震が発生する確率はおよそ0.5パーセントです。

日本海側の活断層が動く“誘発地震”に警戒…

南海トラフ地震について、政府は震度6弱以上の地震が起こる可能性がある地域などを指定し、防災対策を呼びかけていますが、指定地域に含まれていなくても「決して油断はできなない」と、地質学の専門家は警鐘を鳴らします。

竹内教授は南海トラフ地震の震源域にあるプレートが動くことによって日本海側の活断層が連動する「誘発地震」に警戒が必要だと言います。

富山大学 竹内章 名誉教授:「それはなぜかというと、今回は、後発地震が南海トラフというプレート境界で、マグニチュード「7」程度の地震が起きる可能性はあるという評価だったわけです。しかし、マグニチュードが「7クラス」といっても、「7.5」を上回ることも「8」に近いことも考えられます。ユーラシアプレートの東の端の境界は、伊豆半島と静岡市の間を通っていく駿河湾です。駿河湾から糸魚川静岡構造線というプレート境界が日本海にずっと走っていますので、次の後発地震のときに、誘発されて活断層が大きな地震を起こす可能性も念頭に置かなければいけない。一見、この臨時情報で法律的に関わる地域は緑色で塗られた地域で、富山県は外れていますが、決して無関係ではないということです」

誘発地震による “津波への備え” も念頭に…

南海トラフ地震による誘発地震が起きれば、富山県も揺れだけで済まない可能性があると言います。

富山大学 竹内章 名誉教授「南海トラフ地震そのもので、富山も能登半島地震と同じような揺れを経験することになります。そのため、液状化現象や土砂災害などが、また起きると考える必要があります。それが南海トラフ地震の地震動そのものによる直接的な被害です。もう一つは、後発地震が大きかった場合、誘発して糸魚川静岡構造線などの海底の活断層が地震を起こす可能性が『誘発地震』を起こす可能性があるわけで、そうなるとそれによる津波は起きるわけですから、そういった備えも考えておく必要があると思います」

地震本部の想定震度を超えるところも…

Q後発地震でマグニチュード7クラスないし「8」クラスが起きた場合、富山県の影響はどうでしょうか?

富山大学 竹内章 名誉教授:「地震本部で発表している震度分布図をみると、想定される震度分布で、富山県は、震度「7」の赤色はない。「6強」「6弱」の黄、オレンジ色もない。「5強」で「5弱」の緑がちょっとありますが、平野部は「5弱」の色が塗られています。ですから最低「5弱」になると思っていなければいけないです。もう少し詳しい震度予想というのがある。これは同じ国の機関、防災科学技術研究所が全国の振動や地盤の弱いところなどをハザードマップにして公表したものです。海溝型の地震のときに富山は広く平野部とか比較的人口の多い地域がオレンジ色の「5強」になってるんです。さらに赤色があって、「6弱」という場所もあります。ここまで至らないかもしれませんが、一応こういうことを念頭に置いて対応した方がいいと思います。

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