高校球児が甲子園予選大会中、球場外でみせた超ファインプレー。練習後、帰宅時に“熱中症”で動けなくなった60代男性を発見。球児がみせた「とっさの判断」とは…。

7月22日。この日は富山も最高気温が35℃の猛暑日でした。

翌日の全国高校野球選手権富山大会の準々決勝に向けて、富山県の新湊高校では、球児たちが練習に汗を流していました。

午後1時ごろ、練習を終えた3年生の津田典哉選手は、自転車で高岡市の自宅に向けて一人で帰っていました。

その途中のことです。
目の前にぐったりとして動けなくなっている60歳代の男性がいました。
すかさず男性のもとに近寄って声をかけました。

津田選手:「大丈夫ですか?と声をかけました。倒れている男性と、助けている女性がいて」
記者:「男性はどんな状態でした?」
津田選手:「倒れている男性は足とかを擦りむいてケガしていました。腰が痛くて立てない状態でした。助けている人も焦っている感じでした」

倒れている男性は、自転車から転倒し、動けなくなってしまったそうです。男性を見つけた通りがかりの女性が119番通報し、救急車の到着を待っていたところでした。

炎天下で気温は35℃近く…。
ぐったりしてうずくまっている男性を見て津田選手は、心配になりました。

津田選手:「男性はぐったりとしていて動けなかったので、このままにしておくと危ないなと思いました。少しでも男性の助けになれたらいいなと思いました」

男性は意識があり「大丈夫、大丈夫」と答えたそうですが、『熱中症』でぐったりしているように見えました。

『何か自分にできることはないだろうか…』

津田選手は、練習に持っていた水筒の中に「麦茶」が入っていることを思い出しました。

津田選手:「(男性は)寝っ転がっている状態で、自分で飲むことは難しいかなと思って、自分がこうやって(水筒を男性の口元までもっていって)少しずつ男性の口に注ぎました」

麦茶を飲んだ男性は、幾分、表情が楽になったようにみえました。
「ありがとう」と言ってくれたそうです。
消防に通報した女性からも「部活が終わって帰る途中だったのに助けに来てくれてありがとう」と感謝の言葉をかけられました。

女性の通報から約10分後に救急車が到着、男性は、熱中症の疑いで病院に運ばれましたが、命に別状はなかったということです。

津田選手:「いつも自分のために入れている麦茶が、人助けにつながるとは思っていませんでした。よかったです」

高校球児が球場外でみせた「とっさの判断」によるファインプレー。

そこには、甲子園で新湊旋風を起こした野球の伝統校で受け継がれている『教え』がありました。

津田選手:「新湊高校の野球部では‟人間形成”っていう、人としてあたりまえのことをあたりまえにできるようにっていう教えがあって。今回は、自分の思ったままにすぐに行動できました」

「麦茶」で救護の津田選手、最後の夏は…

野球部の教えを実践し、球場外で超ファインプレーを見せた津田選手。翌日の準々決勝では、ベンチから仲間たちを全力でサポート。試合は、3点を追いかける展開となりましたが、ラッキーなプレーが続いたとき、監督はこんな声をかけて選手たちを励ましたといいます。

津田選手:「監督は普通の打球でもイレギュラーとかして出塁できたり、ちょうどいいところに打球が落ちて塁に出ることができたりして、僕が人助けをしたことによって(新湊高校に)運もついてきているといってくれて…」

試合は1対4で敗れ、津田選手の最後の夏は終わりました。

津田選手の甲子園という夢は届きませんでしたが、今は大学進学に向けて夏休みも毎日学校にきて勉強に励んでいます。

津田選手「将来は、富山県の社会問題とかの解決に貢献できる仕事に就きたいと思っています」

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