気象庁が発表した南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)を受け、静岡県内にも余波が広がっている。街では万一に備え、飲料水などを買い求めに店に駆け込む人らの姿が。中止となるイベントも出てきている。自治体は住民に備えを呼びかけるとともに、冷静な対応を求めた。(岩崎加奈、今坂直暉、木谷孝洋)

◆カップ麺や缶詰も品薄状態に

南海トラフ地震臨時情報を受けて対応に追われる県職員ら=静岡県庁で

 巨大地震注意が発表されたことを受け、沼津市は8日夜、同報無線やホームページ、交流サイト(SNS)で市民に注意を呼びかけた。「今後、大規模地震の可能性が平常時に比べて相対的に高まっている」とし、水・食料の備蓄や避難経路の再確認に加え、地震が発生した場合にはすぐに避難できる準備を求めた。  沼津市のスーパーでは、臨時情報発表以降、水やカップ麺、缶詰を買いに来る客が多く訪れ、品薄状態となった。飲料水売り場には9日、「現在2リットルの水が品切れです」との張り紙が貼られていた。50代の女性客は「水を求めてこれで2店舗目。どこに行っても水が買えないという話を耳にした。きょうは諦める」と話した。

◆イベント中止の動きも

 南伊豆町は9日、10~14日に予定していた東京大学の学生と地元の子どもたちが交流するイベントを中止すると発表した。  イベントでは、町内にある東大の保養施設で、運動部に所属する学生たちが、地元の小中学生らに勉強を教えたり、一緒に風鈴をつくったりする予定だった。町によると、主催者の「東京大学運動会」から開催中に地震が発生した場合、参加者の安全を確保することが困難との連絡があり、中止を決めた。

◆「1週間程度の備蓄はお願いしているが…」

 県は対応に追われている。鈴木康友知事は9日の記者会見で、県民に「冷静に、普段通りの生活を送ってください」と呼びかけた。8日は記者団の取材に、旅行や県内外の移動について「緊急事態なので慎重に行動してほしい」と求めたが、国の方針などに合わせて発言を軌道修正した。  鈴木知事は、今後1週間は地震への備えの再確認をするよう求めた上で「日常生活はその通り送ってほしい」と述べた。一部店舗で起きている水やガスコンロの買い占めについては「1週間程度の備蓄はお願いしているが、買い占める必要はない。落ち着いて行動してほしい」と要請した。 

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