東京メトロは8日、突発的な対応が必要な泊まり勤務中の休憩時間が実質的な労働時間に当たるとして、割増賃金を支払うよう、足立労働基準監督署(東京都足立区)から是正勧告を受けたと発表した。グループ会社を含め泊まり勤務のある約1800人の社員に過去3年分、最大で総額約86億円を「清算金」として支払う可能性がある。

◆「突発的な対応」3回に1回の割合で発生

 同社によると、是正勧告を受けたのは、駅の通信設備などの保守管理を担当する日比谷線信通(しんつう)区。24時間勤務の全泊勤務では夜と朝に計7時間50分の休憩睡眠が設けられていたが、駅のカメラなどの突発的な不具合への対応が頻発。足立労基署は「労働時間に該当する」との見解を示した。  泊まり勤務は月に7回ほどあり、突発的な対応は泊まり3回に1回の割合で発生。突発対応が増えた要因として、駅のカメラなどの設備が増え、不具合が頻繁に起きるようになったと説明した。清算金を支払う対象は、日比谷信通区と似た勤務体制の社員も含む。  泊まり勤務中に突発対応があれば、これまでは代わりの休憩時間を設けたり、手当を払ったりしていた。勧告を受け、今後は泊まり勤務の時間を短くし、各自の休憩時間をずらして睡眠を取れるよう改める。同社は「働き方の改善に努め、安心して働くことができる環境づくりを推進していく」とした。(西川正志) 

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