地球温暖化による海水温の上昇や水質汚染などの影響で、沖縄のサンゴは危機的状況に瀕しています。

サンゴが減ることで世界中の漁獲量が減少するなど、海の生態系への影響は世界規模に広がっています。



この問題を解決しようと那覇市の企業が始めたのは、「ICTを活用してサンゴを陸上で育てる」というユニークな取り組みです。

▽サンクスラボ 米澤優希さん
「私達サンクスラボは、サンゴの陸上養殖に取り組んでおります。オフィスの中に水槽を用意して、その水槽1つひとつを自然の環境に近づけ、人工海水環境下の中でサンゴを育てています」

ITや障がい者就労支援事業を展開する企業「サンクスラボ」が取り組むのは、「里海珊瑚プロジェクト」。サンゴを養殖し、故郷の海に返す活動です。

陸上養殖に取り組む「サンクスラボ」

現在、オフィスでは約60台の水槽で2000株のサンゴを育ています。その生育方法はー

▽サンクスラボ 米澤優希さん
「例えば光や水質といったところをデジタルツールを使って管理をしております。光は水槽という環境でサンゴを育てるという上ではとても重要。サンゴの生活リズムを狂わせないというところがとても大事な要素になっています」

サンクスラボ 米澤優希さん

ITを活用して水槽の状況を“見える化”。そのデータをもとに、就労支援の利用者が水槽管理や清掃を行います

▽女性従業員は…
「サンゴに関する知識も増えるんですけど、愛着もすごく湧くので楽しいです」

「身近にあるはずのサンゴがこんなにいろいろ、1個1個も全部種類が違っていたり。環境問題とかに意識が向いてくる」

豊かな海を目指す「里海珊瑚プロジェクトは」今年4月、自治体や漁協の協力を得て、サンゴの苗を採取した豊見城市の沖合で植えつけ作業が行われました。

陸上養殖されたサンゴを植え付け(提供 サンクスラボ)



漁業関係者は、今後成長したサンゴがイカの産卵場所になるなど海洋資源の回復に期待を寄せています。

オフィス内の水槽で育つサンゴ



▽漁業関係者
「サンゴの取り組みをやることによって、海も綺麗になってそれで僕らが漁業として取っていく、イカ類が寄ってくる可能性があるってこと聞いたらどちらもいいかなと思った」

サンクスラボでは、子どもたちにこうしたサンゴの現状を知ってもらいたいと苗づくり体験なども行っています。

ITと福祉を掛け合わせたサンゴの保全と就労支援の両立は、SDGsの目標につながっています。

サンゴを育てる従業員

SDGS<3> すべての人に健康と福祉を
SDGS<14> 海の豊かさを守ろう

▽サンクスラボ 米澤優希さん
「人工的なアシストを通して珊瑚の養殖というのを行っているんですけれども、そのアシストをより強化していくという点では大学や研究機関との連携も強めていけたら、と考えております。今後は多くの漁業関係とも同じようにパートナーシップを締結し、より多くの地でサンゴの保全事業を展開できたらいいなと」

オフィス育ちのサンゴを沖縄の海へ。豊かな環境を未来に残す取り組みが進んでいます。

サンクスラボでは今年5月、オフィスでサンゴの産卵にも成功しました。水槽でのサンゴの養殖で産卵に至る例は多くないことから、得られたデータを活用して次のチャレンジに繋げたいと意気込んでいます。

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