能登半島地震で被災した子どもたちを元気づけようと、青森ねぶた祭に石川県志賀町の小中学生とその家族40人が招待されました。ひと夏の思い出づくりへ、親子2人の初めて尽くしの旅に密着しました。
目の前に迫る勇壮な山車灯籠。青森ねぶた祭に招待された志賀町の小中学生が、見よう見まねで大きなかけ声をあげます。
「ラッセラー!」
周りに負けじとひと際大きな声を張り上げるのは志賀小学校3年の稲垣富士子さん(9歳)。
地震で家は傾く…大好きな子ども太鼓とピアノは
富士子さんはピアノと太鼓が大好きな9歳の女の子。発表会でも軽やかに鍵盤を弾きます。
元日に震度7を記録した志賀町。富士子さんたち家族5人が暮らす自宅は、半壊と判定されました。
母 郁美さん
「こっち側に建物が沈んで、家が引っ張られて家全体が傾いている状態です。傾いてます」
富士子ちゃん(階段を上って…)
「こっちに沈んどる。ここ歩いとるときに気持ち悪くなる」
家が傾いただけでなく、富士子さんが使う電子ピアノも壊れてしまいました。さらに…。
富士子さん「あれ!」
Qここは?
「祭りのときに太鼓叩くときに来た。太鼓叩き終わったら、違うところにまた太鼓を叩きに行ったり、楽しい」
ひび割れたままの鳥居。今年の夏祭りは神事のみとなる見通しで、楽しみにしていた子ども太鼓を叩くことはできません。
富士子さん「もう1回、太鼓叩きたいと思った」
Qお祭り行きたいと思ってた?「うん」
郁美さん
「皆で練習集まるのも楽しいげんね?」「うん」
ピアノと夏祭り、楽しみを失った富士子さんに青森ねぶた祭・招待企画の当選をサプライズ報告です。
母 郁美さん
「青森県の人らがねぶた祭に招待してくれてんね。ほかにもいっぱい行くお友達おるんやけど、お家ではふうちゃんとママの2人旅」
「やったあ!青森県…南?」
「南じゃないな(笑)青森県は寒いから、北の方だよ」
富士子さん、ひと夏の大冒険が始まります。
2泊3日“初めて尽くし”の青森ねぶた祭り
出発当日の朝。青森ねぶた祭に招待された志賀小学校3年の稲垣富士子さん。
富士子さん「りんご飴食べたい」
Qバス11時間大丈夫ですか?
「大丈夫!いってきます」
片道800キロの道のりをバスで11時間。
「志賀町の皆さん、お待ちしてました~ようこそ!青森へ」
志賀町の小中学生を招待してくれた青森市PTA連合会が優しく迎えてくれます。まちなかの祭りの雰囲気に富士子さんにも自然と笑顔が。観覧席に太鼓の音が近づくとご飯を食べる手が止まります。
音大迫力の山車灯籠。初めて見る光景が目の前に広がります。
ナマズの山車灯籠は今回、祭りへの招待を企画した青森市PTA連合会によりますと「2度と地震が起きないように」という願いが込められています。富士子さんが「大好きだ」と話す太鼓は、見たことがないほど大きなものでした。
母 郁美さん
「ねぶたすごく楽しいです、迫力があってびっくりしました。あしたは踊り子として参加できるので楽しみです」
子どもたち「ラッセラー!」
ホテルへの帰り道に覚えたてのかけ声が響きました。
2日目は“ハネト”に挑戦!隊列の先頭へ…
翌日、一行はそろいの浴衣に身を包み、ねぶたの周りでぴょんぴょんと踊る、“ハネト”に挑戦します。富士子さんは隊列の先頭に立ちました。
青森市PTA連合会 棟方丈博 会長
「志賀町の皆さん、ようこそ青森へ、最高の夏休みにしてください!」
「はーい!…ラッセラー!」「ラッセラー!」
青森市PTA連合会 棟方丈博 会長「・・・・・」
Q 目に涙が浮かんでますが?
「汗が目に入りました。志賀町で被災された子どもたちに最高の夏が届けられたかなと思います」
母 郁美さん
「普段は末っ子でもあるので家族とべったりだったりわがままな所もあるけど(今回は)子ども同士で過ごすことが多かったので富士子自身も成長したかな」
富士子さん
「初めて青森のお祭りに参加してとても楽しかった」
Q志賀町の人がどうなるとうれしい?
「元気になると嬉しい。能登半島、がんばります」
初めて見た大きなねぶた。見たことのない町で一緒に練り歩いた友だち。
大好きな母と過ごす、夏。少女の目に希望のあかりが灯りました。
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