働き方が多様化する中、社員の副業を解禁する動きが広がっています。企業と働き手互いが成長できる手段としてメリットが生まれています。

副業を認める企業が増加傾向

大分県にある豊和銀行県庁前支店に勤務する入行4年目の渡邉優樹さん(25)。現在外回りの営業を担当する中、今回新たに挑戦するのがサッカーのコーチです。

渡邉優樹さん

渡邉優樹さん:
「副業が今回スタートするのでサッカーのコーチをしていく。お金をもらい、今後のモチベーションにもつなげていきたい」

豊和銀行では3月からおよそ670人の全従業員を対象に副業の解禁に踏み切りました。その背景には副業ニーズの高まりに加え、多様な働き方を後押しすることで、従業員のスキルや能力の向上につなげてもらう狙いがあります。

豊和銀行人事部 田中豊明副部長:
「いろいろな経験をすることによって、いろいろな知識を得ることができる。そういった知識が本業である銀行の仕事にもプラスになることを期待しています」

副業の申請者の第一号となった渡邉さんは6月ごろから正式にサッカーコーチとして副業を始める予定です。

渡邉優樹さん:
「大分の企業の中でも副業を導入している会社はなかなか少ない。僕としてもすごくありがたい。コーチで培った教える力を今後うまく活かして、部下にも教えられる行員になっていきたい」

副業や兼業をめぐっては国が2018年にガイドラインを策定したことを契機に解禁の動きが加速しています。去年、民間のシンクタンクが全国1500社を対象に調査したところ、60.9パーセントが副業を容認。2021年から5.9ポイント上昇し、副業を認める企業の数は増加傾向にあります。

月額3万円で半年間の副業契約

社員にとっては働き方の幅が広がる一方、副業で業務にかかわることができる人材を募集している企業も。佐伯市でリフォーム事業などを手がけていた「佐伯富士甚」は2年前から副業求人サービスを活用。千葉県在住でハウスメーカー勤務の男性(50代)と契約を結び、男性が持つノウハウを活かして住宅の新築事業に乗り出しました。

佐伯富士甚 御手洗芳夫社長

佐伯富士甚 御手洗芳夫社長:
「新しい事業を立ち上げるにあたって、ノウハウを教えてもらえる人が周囲にいなかった。率先して教えてもらえるので非常に助かった。必要になるツールを作って送ってもらっている。費用を考えたら非常に安いなってぐらいの対応です」

佐伯富士甚では男性と月額3万円の報酬で半年間の契約を結び、月2回リモートでアドバイスを受けました。さらに去年は、化粧品メーカーの人事部門の男性と契約し、社員の個人面談制度を構築するなど経営課題の解決につなげています。

佐伯富士甚 御手洗芳夫社長:
「困っていることに対して、一生懸命応えてくれようとして、こちらとしても安心して相談することができた。これからも会社として課題になるようなことがあって、相談できるようなことがあれば活用していきたい」

県の委託を受けた「県プロフェッショナル人材活用センター」では、専門的な人材を求める県内企業と人材ビジネス業者を無料で仲介していて、この3年間で18件が成立。担当者は正規採用よりもコストを抑えられる点が副業人材の魅力だといいます。

県プロフェッショナル人材活用センター

大力貴マネージャー:
「専門の人材を雇おうとしても年収換算でいくと1000万円以上出さないと正社員としては雇えない。副業人材はトータルしても20万~30万円の費用で課題解決ができる。お手軽に高度な人材を利用できるいい時代になった」

企業と働き手双方にメリットが見い出せる副業。地方の人手不足の解消にもつながる大きな選択肢となっていきそうです。

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