7月25日から26日にかけ、山形と秋田を襲った記録的な大雨。浸水被害の影響はいまも続いています。30日まで、山形で取材した記者の報告です。

【報告・TUF関根佑記者】
私は、JNN取材団として28日から現地に入り、主に山形県の酒田市を取材しました。酒田市は、およそ300棟の住宅で浸水被害があり、道路の寸断などもありました。復旧作業はまだ始まったばかりですが、今回の取材で感じたのは、夏場の復旧作業の過酷さです。

7月25日、山形県には、2度の大雨特別警報が発表されました。山形県内ではこの雨で、救助に向かっていたパトカーが流され、警察官2人が死亡、歩いて避難所に向かっていた86歳の女性の行方がいまだに分かっていません。(7月31日現在)

続く停電と断水「あるもので何とかするしか…」

私たちが向かったのは、特に被害が大きかった酒田市大沢地区です。自宅が浸水したこの男性は、当時の状況を次のように話しました。

自宅が浸水した男性「(身長が)158センチくらいだから150センチまでは(水が)きている」

この地区は、近くを流れる荒瀬川が氾濫し、一帯が浸水しました。また、さらに奥にある地区へは、道路が寸断され、車が入れない状況となっていました。

大沢地区に住む相蘇弥(あいそ・わたる)さん。自宅は川沿いにあり、水が堤防を乗り越えて、土砂や流木が流れ込んだといいます。

相蘇弥さん「なんとか建物は残りましたけど、堤防も何もなくなりましたからね」

相蘇さんは、一時的に近所の人の家に避難していますが、そこでも停電と断水が続いています。

相蘇さん「まだここは電気が来ていない。しょうがない、あるもので何とかするしか…」

相蘇さん

特産品のナシも被害 ブランド存続に危機感

酒田市では、住宅やインフラだけでなく、産業にも大きな被害が出ています。

関根記者「荒瀬川のすぐそばにあるこちらのナシ畑は、氾濫により一面が浸水してしまいました。あちらのナシの木は流木と衝突して折れてしまっています」

酒田市刈屋地区の「刈屋梨(かりやなし)」。100年以上の歴史を持つ、地域を代表する特産品です。

土井正幸さん「これ以上この辺まできた。2メートルくらい」

ナシ農家の土井正幸さん。およそ4400平方メートルの畑が浸水し、木にして180本分のナシが出荷できなくなりました。被害額は400万円に上る見込みです。今回の被害はもちろん、地域が培ってきたブランドの存続に、危機感を募らせています。

土井さん「もう3週間で収穫だった収穫間際今年は出来が良かったのでほんとがっかり。(刈屋梨の)ブランドが無くなる可能性もある」

土井さんたちは重機を所有していないため、厳しい暑さの中、畑に流れ込んだ土砂や木の枝を手作業で撤去していました。

「本当に暑い」熱中症リスクも

私が今回特に感じたのは、停電や断水が続くなかでの復旧作業の過酷さです。広い範囲で住宅が浸水した酒田市大沢地区では、屋外で作業する人の姿が多く見られました。私がいた3日間も、シャツ1枚で歩いているだけで汗ばむ蒸し暑さを感じました。

復旧作業にあたる住民「電気がないので、食料の保存も全然きかない。扇風機やエアコンも何もつけられない。熱中症とか健康のリスクもかなり大きい」
復旧作業にあたる住民「きょうは夕方4時までやる。本当に暑い、できればやりたくない」

災害時の熱中症対策として、総務省消防庁などは、「できるだけ2人以上で作業を行うこと」や「水分や塩分をこまめにとり休憩場所は涼しい場所を確保すること」などを呼びかけています。

これからの季節、避難経路や場所の確認など、大雨への対策はもちろんですが、その後の暑さも念頭に備えておくことが大切だと感じました。

被災地で取材にあたった関根佑記者

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