受刑者のよりよい更生のためにどうすればいいのか。いま、刑務所が変わろうとしています。
塀の中で働く刑務官の姿から、その模索する様子が見えてきました。
午前6時50分。1日の始まりです。ここ、札幌刑務所には約740人の受刑者が償いの日々を送っています。
刑務官(工場担当)
「勤務しているのが日勤というポジション。月曜日から金曜日まで。」
刑務官も準備を進めます。この日は、ライフジャケットや交通安全の旗などをつくる洋裁工場の刑務作業の担当です。
社会復帰のため重要とされる刑務作業。受刑者どうしのトラブルが起きないよう、目を光らせます。
刑務官(工場担当)
「また体調の変化あったら言ってこい」
刑務官
「最初に受刑者が工場に来るとき、険しい顔で構えて来る。最後、出所で『ご苦労さん』と言葉をかけたとき、すごい柔らかい姿勢と態度と笑顔で『お世話になりました』と言ってくれる。やっぱり最初と最後に携われるのが一番のやりがい」
そのやりがいとは裏腹に、刑務所という場所柄「受刑者と接するのがこわい」「身近ではない」などの理由から、刑務官になりたいという人は減り続けています。
見学会に参加した学生
「異常ありません!」
現状を変えようと9月に控えた刑務官の採用試験を前に、専門学校の学生たちを招き、見学会が開かれました。
参加した学生たちは、刑務官の制服に身を包み、受刑者の部屋の巡回も体験します。
見学会に参加した学生
「一つ一つの作業や業務がとても責任重大。社会に欠かせない仕事だと痛感した」
刑務所自体も、変わらなければならない時期に来ています。来年夏から、懲役刑と禁錮刑を1本化させた「拘禁刑」が導入されます。
懲役受刑者への義務だった一律の刑務作業をやめ、改善・更生のため受刑者の特性に合わせた処遇をおこなうものです。
背景にあるのは、再犯率の高さ。札幌刑務所の受刑者も平均入所回数は5.2回です。
刑務官(工場担当)
「刑務所の中でもう一度会う。複雑な何とも言えない気持ちになる」
再び同じ場所に戻さない、そのための取り組みの一つが始められています。
刑務官
「(名字)+さん」
名前の呼び捨てをやめました。「上」と「下」ではない関係を築くのが目的です。
刑務官
「どういうふうな伝え方をしたらきちんとわかってもらえるのか、常に悩みながら、いまでも正解が分からない」
よりよい更生のために何をすべきなのか。悩み、とまどいながらも新たな刑務所づくりが進められています。
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