嫌な臭いのイメージが強いカメムシ。今年、大量発生していて、農作物にも被害が出ている。愛媛県では1996年以来、28年ぶりとなる警報が発表された。

平年の90倍超のカメムシ発生も

愛媛県が調査しているカメムシの誘殺数(予察灯)は、7月上旬には平年の90倍を超える地点がみられるなど、警報を発表した1996年と比べても誘殺数は多いということだ。
主な地点(平年比)
松前町大間…90.3倍
西条市西泉…57.2倍
西予市宇和町…53.7倍
宇和島市吉田町…26.8倍
松山市上難波…22.4倍

また、県が143か所の果樹園地を調査した結果、カメムシの被害を受けた園地の割合は、キウイフルーツ100%、かき92%、かんきつ75.9%だった。

愛媛県伊予市でビワなどを栽培している農園でも、果実はへこんだり変色したりしていた。こうなってしまうと商品にはならず、従業員は「廃棄するしかない」と話す。

今年は餌が少なく園地に飛来か

病害虫の発生状況や被害などを調査する愛媛県病害虫防除所の担当者は、今年の状況について、近年稀に見る大量発生だと驚きを隠しきれない。

では、なぜここまでカメムシが大量発生しているのか―。県の担当者は、去年、カメムシの餌が豊富だったことなどを理由にあげる。

「今いるカメムシは、去年の夏に発生したカメムシが越冬しているんですけど、去年の発生が非常に多かったということで、この春、冬眠から目覚めたカメムシが餌を求めて現在果樹園に飛んできているという状況。去年はカメムシの餌であるスギとヒノキの果実、球果(=針葉樹の果実)が非常に豊作だった」

県は「今年のように越冬成虫が多い場合は7月下旬にかけて飛来が減少するが、 今年は餌となるヒノキ球果が極めて少ないため、園地へ多量の飛来が継続することが予想される」としている。また、特に8月上旬頃までは多量の園地飛来に最大限の警戒が必要だと呼びかけている。

また、防除上の注意点として以下を挙げている。
▼飛来時期や飛来量は園地により異なるため、園地観察を行い、発生を認めたら、各地域の防除暦に従い速やかに防除を行う。特に発生の多い地域では広域一斉防除を実施する。
▼主に山林から果樹園に飛来するため、山林に近い園地での被害が多い傾向にあるので、特に注意する。
▼果樹園への飛来は曇天で夜温があまり下がらない日に多くなるので注意する。
▼果樹カメムシ類は主に夕方から夜間にかけて加害するので、薬剤散布は夕方に行うと効果的である。
▼飛来が長期間続く場合は継続的な防除が必要であるが、連続して防除を行うと、ハダニ類やカイガラムシ類の異常増殖(リサージェンス)を引き起こす恐れがあるので注意する。
▼薬剤は登録内容に応じて使用するが、周辺作物や生物(魚・蚕・ミツバチ等)に影響を及ぼさないよう注意して選択する。

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