飯田市で片付けのアドバイスを仕事にしている金田雅(かなだ・みや)さん。
2人の子どもを育てる金田さんは、フルタイムの職場を辞めて、2023年、この仕事を始めました。
金田さんが選んだ新しい生き方とは?
「スーツってそんなに着ないよね」
下伊那郡内の住宅の一室で洋服の片づけを行う金田雅さん35歳。
整理収納アドバイザー1級の資格を持ち、2023年8月から「片付けレッスンコーチ」として仕事を始めました。
依頼主の女性:
「着られるんだけど苦しいからもういかって」
金田さん:
「今に合わせようか」
家事代行と違うのは、依頼主と一緒に片付けをすること。
飯田下伊那地域の自宅や会社を訪れて、整理や収納のポイントを教える「コーチ」です。
金田雅さん:
「家主の方自身に手を動かしていただいて、私が片付けレッスンから離れた後も長い目で見たときに、ご自身で片付けができるようにというところを大切にしている」
この日の依頼主は、家全体の荷物や洋服を片づけたいという同級生の女性。
まずは、クローゼットにあふれかえった洋服を一つひとつ一緒に確認しながら、残すもの、処分するものを分けていきます。
依頼主:
「今まで物がたくさんで探し物ばかりでイライラしていた。1人だと絶対また着そうだなと思って取っておいちゃう。一緒に見ることによって思い切りが出る」
金田さん:
「寄付するという選択肢もあるんですけど、それより優先すべき普段の生活があるので今回は基本的には捨てる」
「これはもらい物だね」
「どう?」
「そんなに着ないかもね」
残すと決めた服の収納の仕方も、整理されたクローゼットを保つために重要です。
金田さんによると、ポイントは、服と服との間を空けて、どんな服が置いてあるか一目でわかるようにすること。
依頼主:
「見やすいよね、すっきりすると。どこになにがあるか分かる。しかも選びやすい朝急いでいるときも」
金田さん:
「5分が大事だから」
初回のこの日は、3時間をかけてクローゼットの一部を片づけました。
「すごい綺麗になった」
「床が見えた」
金田さんは、今の仕事を始める前、正社員の事務職を週に5日、さらにクラシックバレエの講師を週に3日というダブルワークをしていました。
夫は大工の仕事でなかなか休みがとれず、6年前に長女が生まれると、育児や家事の負担も増していきました。
ある日、仕事に向かう車の中で、無意識に涙が溢れました。
金田さん:
「自分でもあんまり辛いってことに気づいてなくて、でも精神的にまいっていて、自分でもコントロールできない涙。悲しくて悲しくて泣けるというより、いきなりぼろぼろと泣けてきちゃって」
「おかえり~これ持とうか?」
4年前には長男を出産。
忙殺される日々の中で、精神的にも体力的にも追い詰められていた金田さんの人生を変えたのが、「片付け」でした。
金田さん:
「物を整理して減らしていく中で、家事育児が楽になったり、それ以上に頭と心が整理されて、当時のダブルワークの働き方を見直した時に『今の私にはキャパオーバーなんだな』ということに片付けを通して気づけて」
自分と同じような悩みを抱える人の助けになれればと、ダブルワークをやめて「片付け」の仕事を始めました。
片付けレッスンは依頼主の希望に応じて2時間1万円から対応。
ダブルワークのときと比べ収入は減ったものの、子どもや家族の行事があるときは予約を受けず、ライフスタイルに合わせて働けるようになりました。
長男:
「自分でつける」
金田さん:
「やってみる?針だよ」
長男:
「やりたい」
子どもたちも成長し、自分の服を片付けたり、洗い物をしたりと一緒に家事ができるようになってきました。
子育てや家事、仕事に追われ、悩んでいた日々。
金田さん:
「仕事で忙しすぎたときは子どもに当たってしまうことがあった。心の余裕をもって子育てができているのかなと思っています」
自分自身や家族のことを見つめ直し、新しい働き方を見つけることができました。
金田さん:
「飯田下伊那で片付けと言えば雅ちゃんだよねと言ってもらえるような存在になりたいなと思っています」
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