地区の住民の多くが「桜守(さくらもり)」として活動し、保全に取り組んでいる桜並木が松本市の郊外にあります。
桜並木が出来たきっかけは「ゴミの不法投棄」でした。


松本市今井の北耕地地区。


鎖川(くさりがわ)沿いに、およそ1.5キロの桜並木があり、このほど見頃を迎えました。

北耕地地区「桜守の会」会長 三村幸一(みむらこういち)さん:
「いやーよかったです。天気がよくてね本当に」

「桜守の会」三村光利(みむらみつとし)さん:
「今日最高じゃないですか」
「これだけ立派な木になるとは思わなかったですけどね」

住民に愛される鎖川の桜並木。

しかし、かつての川沿いは、今とは全く違う姿でした。


「桜守の会」村山誠仁(むらやませいじ)さん:
「ゴミ捨て場みたいなもんだった」
「タイヤやテレビやいろいろ捨ててあったんです」

今から30年ほど前、鎖川に沿って道路が開通すると、ゴミのポイ捨てや粗大ゴミの不法投棄が目立つようになりました。



三村幸一さん:
「一番大きなゴミはね、流しが捨ててありました」
ゴミを片付けるっていうのも業者さんとかではなくて、みなさんがやらなきゃいけなかったってことですか?
「桜守の会」三村博昭(みむらひろあき)さん:
「そうです」
三村幸一さん:
「木がたくさんあって見えづらいとゴミを捨てやすいんですね」

鎖川沿いを覆っていたニセアカシアなどの雑木。

視界を遮るように生い茂るため、ゴミの不法投棄が後を絶ちませんでした。


三村博昭さん:
「こんくらいの木がそっちまで川までびあーっと。これこれ全部ニセアカシア」
「これがもう全部一体密集」
木を切り倒して根っこを抜いたものもある?
「抜きましたよこの辺は」「そうそう重機でね」
村山誠仁さん:
「きれいにすればゴミも捨てなくなるし、いいかなと思った」
「桜の苗木があるから、ついでに植えねかってことでね、それで仲間大勢作って大きな木を植えたんですよ」

桜並木できれいな鎖川を取り戻したい。

北耕地地区では25年前、有志で「桜守の会」を立ち上げて桜の植樹を始めました。


「桜守の会」には現在、地区の92世帯から60人が参加し、年に3回の草刈りや清掃活動など、桜並木の保全に努めています。

三村幸一さん:
「桜を植えてきれいになって見通しが良くなるとゴミの量が減ります」
「きれいだと捨てにくいんでしょうね。一つの効果があったと思います」



最初の植樹から25年。

「桜守の会」では、住民たちで一緒に桜の成長を祝いたいと考えてきました。

三村博昭さん:
「計画したんですけど、コロナで緊急事態宣言で流れちゃって」
「やっとできるようになりました」

そして、4月13日、100人以上の住民が集まり、「桜守の会」25周年のお祭りを開きました。


お祝いの餅まきは、大人も子どもも全員が参加。

住民:
「昔っから地域の集まりっていうのはいいよね」
「みんな顔なじみの衆だからね」
「一人が言うと、じゃあって協力態勢がすごいもん」
「田舎なせいかな」
「気寄りがいいわね」


三村幸一さん:
「仲のいい人たちが集まるっていう気寄りがいいってこの辺では言ういうんですけど、そういうのが残っている集落だと思います」
「こういうことが続いていくようになれば一番。地域としても一つの絆が桜守(の活動)でできればと思っています」

住民同士が気持ちを寄せ合い世代を超えて、これからも桜と地域を守ります。

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